リーンなパン(その51:発酵種水分のみのパン〜無塩プチパン試作2〜 )

パンの仕様:中種をそのまま焼いたパンとなる。

1.材料

・強力粉:150 g (昭和産業 強力粉 カナダ産小麦 一等粉)。

・薄力粉: 50 g  (奥村製粉 薄力粉 STAR SELECT ブランド 原産地不明 一等粉)。

・ルヴァン種(リキッドルヴァン):52 g

・レーズン発酵種(液):30 g

・りんご発酵種(液):70 g

・食塩:無し。

・水:無し。

※発酵種の水分のみにより加水率:63.6 %相当。

DSCN7539

2.一次発酵:室温(約16 °C)× 約17 h。

DSCN7541
一次発酵開始 2016/2/18 20:21
DSCN7559
一次発酵終了 2016/2/18 13:19

3.二次発酵:室温(約23 °C)× 約 2 h。

DSCN7563
二次発酵開始 2016/2/18 13:45
DSCN7565
二次発酵終了 2016/2/18 15:38

4.焼成条件:230 °C× 23 min。

DSCN7566
クープ入れ直後 2016/2/18 15:41
DSCN7570
焼成終了 2016/2/18 16:15

※このパンについては,今後,数回に分けて,各工程の記事を投稿する考えである。

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アルミプレートをオーブンシート・銅板・スリップピールの代用にすること(その3)

過去記事

・調達性について:アルミプレートをオーブンシート・銅板・スリップピールの代用にすること(その1)

・コストについて:アルミプレートをオーブンシート・銅板・スリップピールの代用にすること(その2)

1.はじめに

オーブン機能電子レンジを使用し,パンを焼く際に,オーブンシート代用として金属板を使用する場合にアルミプレートを私は選択した。その理由を,その3において,アルミプレートと銅板の機械的性質,熱的性質,および,化学的性質の三つの観点から考察し,家庭においてパンを焼く際に,オーブンシートや銅板の代用としてアルミプレートは十分に実用的であることを示す。

2.アルミプレートをオーブンシートなどの代用として使用する上で検討したこと

(1)アルミプレートと銅板の板厚および質量(重さ)

(2)アルミプレートと銅板のオーブンの中での伝熱特性の違い

(3)アルミと銅の腐食性(手入れのし易さ)

3.物性値

物性値は,八光電機株式会社が公開している物性値を利用した。

利用する物性値は,密度,比熱,熱伝導率である。アルミ,銅(純銅),および,参考のためステンレス鋼(八光電機殿のデータベースではクロムニッケル鋼 18Cr 8Niとされているモノである。これは,家庭用ステンレスとし一般的なオーステナナイト系ステンレス鋼SUS304の組成である。米国製の鍋などではStainless steel 18.8などと記載されている材料である。

表1:物性値
物性値 単位 アルミ 純銅 ステンレス鋼
密度(@20° C) kg/m3 2700 8960 7820
比熱(@300 °C) J/kg°C 1040(@300 °C) 414 (@300 °C) 502(@20 °C)
熱伝導率 W/m K 230 (@300 °C) 366 (@300 °C) 16 (@20 °C)
融点(@300 °C) °C 660.2 1083 1410

4.具体的な検討

4.1 機械的性質の検討(主に重さ)

前提とする寸法 幅300 mm×奥行き300 mm × 厚さ 2mm。この板の体積は,180 ml = 0.18 l=1.8×10-4 m3である。この体積と表1の密度より,板の質量(重さ)が計算できる。[質量]=[体積]×[密度]である。

表2 板の質量(重さ):幅300 mm×奥行き300 mm × 厚さ 2mm
単位 アルミ 純銅 ステンレス鋼
板の質量(重さ) kg 0.486 1.613 1.408

表2の示す結果は,アルミは銅よりもとても軽いということである。

図1に私が購入したアルミプレートの重さを測った結果を示す。計算値に一致している。

DSCN7556
図1 300 mm×300 mm× 2mmのアルミプレートの重さ実測結果

例えば,板に750 g(粉量450 g,加水率65 %=私が作るパン・ド・カンパーニュの条件)の生地を載せて,ミトンを両手にしてオーブンに入れることを考慮すれば,板の重さは軽い方が優位である。

4.2 熱的性質の検討

4.2.1 幅300 mm×奥行き300 mm × 厚さ 2mmの板を温めるために必要な熱エネルギー

表1の材料の比熱,および,表2の板の質量から,板を温める熱エネルギーを計算できる。ここでは,オーブンに入れる前の板の温度が20 °Cとし,パンを焼く温度を250°Cとする。計算は,[熱エネルギー]=[比熱]×[質量]×[250 °C – 20 °C] である。なお,エネルギーの単位はJ(ジュール)であるが,家庭用オーブン機能付電子レンジは電力をエネルギーとして使用する。そのため,参考として,電力料金検針票に記載される単位であるkWh(キロワット時)を併記する。

表3 板を温めるためために必要な熱エネルギー
単位 アルミ 純銅 ステンレス鋼
熱エネルギー kJ (kWh) 116.3 (0.0322) 153.6 (0.0427) 162.6 (0.0452)

表3の示す結果は,アルミプレートを温めるエネルギーが最も小さいことを示す。実利的には,アルミの場合が,オーブン機能電子レンジを使う場合,最も電気代が安くなり得る

4.2.2 板に載せたパン生地をオーブンに入れた直後に板の下面から上面に伝わる熱量

板に載せたパン生地をオーブンに入れた直後に板の下面から上面に伝わる熱量は表1の熱伝導率を使って計算できる。パン生地の温度を20 °C,板下面の温度を250 °Cとした場合には,計算式は[熱量]=[熱伝導率]×[2 mm = 2×10-3 m]×[250 °C-20 °C=230K]である(注:Kは絶対温度の単位のケルビンである)。

表4 パン生地をオーブンに入れた直後に下面から生地に伝わる熱量
単位 アルミ 純銅 ステンレス鋼
熱量 W (J/s) 105.8 168.4 7.4

表4の結果は,金属板を下から熱した場合,銅が最も熱を伝えやすく,次にアルミであることを示す。

4.2.3 考察

ここで,オーブンとガスレンジの熱の伝わり方について,考察する必要がある。図2にオーブンにアルミプレートを置いた様子を,図3にガスレンジに鍋をかけた状態を示す(このような写真をインターネット上に掲載したことを家内に知られた,ひどく叱られそうである。言い訳として,我が家のオーブンは2001年製である。15年も使っていれば,それなりにはなってしまう)。

DSCN7546 (1).jpg
図2 オーブン内にあるみプレートを置いた状態

DSCN7547.jpg
図3 鍋をガスレンジにかけた状態

オーブンは,予熱により庫内がほぼ一定の温度(熱平衡状態)にするため,板の上面からも熱が伝わる。一方,ガスレンジの場合には,熱は,鍋の下からのみ伝わる。つまり,表3に示した板を温める熱エネルギーはオーブンの場合には,板の上下面両側から伝わる。もちろん,パンには,全面から熱が伝わる。そうでなければ,食パンの型焼きができない。

オーブンの熱源は我が家オーブンでは,どうやら側面にありそうなので,下面から伝わる熱エネルギーだけを考慮することは重要ではない。一方,ガスレンジの場合は,表4により検討した下面から伝わる熱量が重要となる。

よって,オーブンシート代わりに使う金属として,銅板を良とする伝熱工学的な根拠はないと考える。アルミの物性値でも十分に実用的であると考えられる。

4.3 アルミと銅の腐食性(手入れのし易さ)

金属の腐食は金属表面の酸化の問題であり,化学の問題である。私は化学が苦手なである。よって,私の下手な一般論ではなく,私がパン・ド・カンパーニュ用の発酵籠を購入した際に添付されていた馬嶋屋菓子道具店殿のチラシ(図4)のを転載させて頂く。サビ(腐食)に対して,アルミは○(良い)が銅は×(悪い)と表記されている(図5)。

IMG_3609.jpg
図4 馬嶋屋菓子道具店チラシ
IMG_3609 (1).jpg
図5 パン用道具 材料の特徴一覧

アルミと銅の腐食性の違いは,一般論として以下のように言える。

(1)アルミの腐食性:アルミは本来腐食し易い材料である。そのため,アルミの表面にはすぐに酸化アルミニウム(Al2O3)の薄膜ができる。この酸化アルミニウムは透明かつ硬い(サファイヤやルビーの本体も酸化アルミニウムである)。アルミプレートが汚れた場合,こすり洗いをして表面に筋状の傷が付くが,その筋も直ぐに酸化され,酸化アルミニウムになる。つまり,アルミプレートは手入れがし易い

(2)銅の腐食性:銅は貴金属であり,錆びにくい。しかし,銅には緑青と呼ばれる青サビが発生する。理化学辞典によれば,大気中に微量に存在する二酸化硫黄または硫化水素との反応生成物CuSO4・3Cu(OH)2が緑青の主成分であるとされている,と,記されている。

私が,銅板を使うのに躊躇した理由は,その2に記したコストと銅の腐食の問題である。銅板は手入れが大変であろうと考えた

5.結論

家庭用オーブン機能電子レンジを用いて,その庫内をより広く使うために金属板を使用する場合において,従来,銅板が良いと言われていた(1)(2)が,アルミプレートは,十分に実用的であると考える。

参考文献

1.高橋雅子,少しのイーストでゆっくり発酵パン—こんな方法があったんだ。おいしさ再発見!,PARCO出版 (2007).
2.高橋雅子,ゆっくり発酵 バゲット&リュスティック (少しのイーストでつくるパン3),PARCO出版 (2008).
3.岩波書店,理化学辞典第5版 CD−ROM版(1999).

<参考>

私が購入した幅300 mm×奥行き300 mm×板厚2mmにアルミプレートは下の写真にAmazonのリンク先を貼ってあり,そこから購入可能である(価格:¥ 1,739 + ¥ 600 関東への配送料)

エスコ 300x300x2.0mmアルミ板 EA441VC-21

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発酵種を使用したパンの美味しさは,どうやら,白身魚の刺身みたいな物らしい〜文献検索から〜

私のパンは志賀勝栄さんの著書『パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ)』に啓発されて始まった。

そのため,あまりパンの一般的な知識を有さずにパン作りを行っている。レシピ本は,唯一,志賀さんがプロのパン職人向けに執筆された『酵母から考えるパンづくり』を参考にしている。

最初は,微量ドライイーストのパンを作っていたが,モノは試しとレーズン発酵種を志賀さん本を頼りに作ってみたら,なんとなく出来たので,以来,発酵種を使ってパンを作っている。2016年2月16日の時点において,我が家には,四つの発酵種がある。リキッドルヴァン,レーズン発酵種,りんご発酵種,および,白無花果発酵種である。

DSCN7526.jpg
リキッドルヴァン

DSCN7523.jpg
レーズン発酵種

りんご発酵種
りんご発酵種

DSCN7524.jpg
白無花果発酵種

志賀さんは,『パンの世界』の中において,パンのレシピはほとんどやり尽くされてしまっていると記している。しかし,一方で,発酵は残されたフロンティアだとも記している(パンの世界,pp.206-208)。

また,志賀さんは,発酵種を使ったパンの美味しさとして,志賀さんのお店シニフィアン・シニフィエのパンを化学分析したことを紹介し,様々な香気成分が検出されたとしている(パンの世界,p.130)。しかし,『パンの世界 基本から最前線まで』は,パン作りに縁がなかった私のような者への解説本であるから,データは掲載されていない。

そんな中,数日前に,文献検索をしていらた以下の文献を見つけた(学術資料はインターネット上で簡単に検索可能である)。

・藤本章人 、井藤隆之、井村聡明,伝統発酵食品研究の新展開 伝統的パン種のおいしさと微生物の関わりについて,生物工学会誌 ,Vo.l 90 ,No. 6 ,pp. 329-334(2012).

この文献には,代表的な発酵種の特徴とサワー種の製法,および,サワー種工程中の菌類や酵母およびph値の変化データなどが掲載されている。データを転載したいところであるが,それは,著作権法違反になるので,できない(これが,STAP現象騒ぎで問題になったことである)。

上記文献中に,とても興味深いデータがある。発酵種に何を使ったか不明(おそらくサワー種である)であるが,発酵種を使用した低温発酵パンには,遊離アミノ酸やペプチドが多く含有していることを確認したデータが掲載されている。

アミノ酸は,言ってみれば,旨みである。日本人が繊細な白身魚の刺身に感じる美味しさと同様なことが,発酵種を使った低温発酵パンの中にある!,と,私は理解した。

私はメカニカルエンジニアであり,食物や発酵などには全く知見を有しない。だから,専門的な理解はできない。しかし,もしかしたら,私が作っているパンも,旨みが多く含まれているのかもしれない!と,いう,期待を抱かせてくれた。

また,発酵種を使ったパンを作るにあたり,小麦粉の差についても,官能評価であるが,データを示してくれている。一等級の小麦粉を使えば,より美味しくなるということだ。官能評価とは,食べてみて美味しかったかどうかという試験である。

しかし,小麦粉の等級というのは,私には馴染みがなかった。インターネット上において検索し,調べてみると,小麦粉の灰分の量によって区別される等級らしい。自分が使っている小麦粉の袋を見たが,等級や灰分の記載はない。

そこで,小麦粉のメーカのお客様相談室に電話した。

電話したのは,順に,昭和産業,奥村精粉,および,日清製粉の三社である。安堵したことは,どの小麦粉も一等であった。三社とも,変な質問に,丁寧に回答して頂けた。この場を借りて,御礼を申し上げる。

上記文献を入手するには,二通りの方法がある。一つは,jglobalの下記URLから文献複写を依頼する方法である。もう一つは,なぜか,文献が別のURLにあったので,そちらから閲覧する方法である。私は後者で閲覧し,jglobalにおいて再検索を行った。

  1. http://jglobal.jst.go.jp/detail.php?JGLOBAL_ID=201202260324168620
  2. https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9006/9006_tokushu-2_6.pdf

志賀さんの著書,および,上記文献から,発酵種を使った低温長時間発酵パンは,パン作りの最先端であると考えることができる。そうであれば,普通のパンのレシピを知らない,私のような門外漢であったとしても,パンは作れる。

これは,我田引水であろうか?

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クープを破壊力学的に考えてみると。。。。き裂進展?

パンを作りは,各工程にトラップ(罠)が潜んでいる。

パン作りは,

(1)材料計量

(2)生地捏ね

(3)一次発酵

(4)成形

(5)二次発酵

(6)焼成

という六つの工程になることが一般的である。私がパンを作り出して,まだ半年しか経っていない。そのため,各工程について十分に理解しているわけではない。そして,最初は,捏ね方がわからず,そして,発酵は,未だにわからない。トラップに掛かり続けている。

一方,各工程内のトラップもあれば,各工程間のつなぎの作業におけるトラップもある。その代表的なものが,二次発酵から焼成の間にあるクープ入れである。

私は,クープが一体何なのか,全くわからなかった。それで,なんとなく筋を入れいたが,焼成が完了したパンは悲惨な姿になり続けた。恥ずかしいが,それらの例を示そう。

DSCN7360.jpg
釜伸びに対応できずに弾けってしまったパン

IMG_3439.jpg
釜伸びに対応できなかったクープ

IMG_3448.jpg
クープが少なくて,はみ出しが起きてしまったパン

DSCN7326.jpg
釜伸びが少ないのに深すぎてゴツゴツしたクープ

経験を積むしかないのかと,諦めていた。

しかし,ふと,クープとは,破壊力学の「き裂進展」のことではないかと思うようになった。

細かい,説明は省くが,パンがオーブンの中で膨張することに対応して,あらかじめき裂(クープ)を作っておき,き裂が大きくなることにより,焼成後の形を美しくする。これが,簡単にできれば,苦労はないのであるが,そう考えると,これまで作ってきたパンは,オーブンの中でどんな膨張をするのであろうとは考えてなかった。考えていたのは,「こんなクープの入り方になるといいなぁ」という,曖昧な期待であった。

まぁ,そんなことを考えるようになると,クープは少しまともに入るようにはなった。

DSCN7488.jpg
少しはまともになったクープの例

さて,では,き裂進展とはなんであろう?パンで実験すると大変な手間がかかるため,破壊力学のしばしば例にされる紙の破れ方を示す。ティッシュペーパを引張ってみただけである。ただし,クープに相当する切れ目(これを,専門用語として「予き裂」と呼ぶ。あらかじめ破れるところを作っておくということである)の有無でティッシュペーパの破れ方が変化する。興味を持って頂けたら幸いである。

パン作りに機械屋が絡めることはありそうだ。

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パンの実験:パン・ド・カンパーニュ室温保存はいつまで可能か(11日目)

過去記事

パンの実験:パン・ド・カンパーニュ室温保存はいつまで可能か(9日目)

パンの実験:パン・ド・カンパーニュ室温保存はいつまで可能か(10日目)

11目(2016年2月15日朝)の状態。まだ,カビは目視ではない。

DSCN7491.jpg
パン・ド・カンパーニュ11日目外観

4分トーストすると,薄っすらと焦げ目がつく程度。リーンなパンは焦げない!

DSCN7495.jpg
オーブントースターで4分炙る

食べ終わる方が先か?

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パンの実験:パン・ド・カンパーニュ室温保存はいつまで可能か(10日目)

パン・ド・カンパーニュ室温保存はいつまで可能かという実験を9日目から投稿し始めた。

その続き。10日目であるが,ほとんど変化はないように思える。

DSCN7484.jpg
パン・ド・カンパーニュ10日目

パン・ド・カンパーニュ10日めの弾力性

 

オーブントースターで3分炙ってから食す。リーンなパンは焦げないので,見た目は変化はない。クラフトが未だにサクサクしている。

DSCN7485.jpg
3分トースト後

パンの劣化よりも,食べ切る方が早そうだ。

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アルミプレートをオーブンシート・銅板・スリップピールの代用にすること(その2)

アルミプレートをオーブンシート・銅板・スリップピールの代用にすること(その1)』という記事を2016/2/11に書いた。この記事は,その続きである。一回で書き終わらなかった。

これから,書こうとすることを想定すると,多分,その2でも終わらない。

だから,その2は簡単にする。

その1において,バケットタイプのパンを焼きたいためにアルミプレートを使うことを思い付いたとした。そして,そのきっかけは,高橋雅子さんの著書,ゆっくり発酵 バゲット&リュスティック (少しのイーストでつくるパン3)を読ませて頂いたことになる。高橋さんの著書の中に,予熱で温めたオーブンレンジ庫内を冷やさないように,天板を上下反転させて置き,パン生地は銅板に載せて出し入れすることが紹介されている。そして,バケットは,銅板の対角線上に置けば,長くできことも紹介してくれている。

とても参考になる情報であった。高橋さんの著書の中に銅板の入手先も記載されていた。

しかし,値段が記載されていたか覚えていない(図書館の蔵書借りた)。また,エンジニアとして,銅板の使用に少し,気になる点があった。

一つは値段のこと。もう一つは,銅を使うことである。私は鋼やアルミは使い慣れているが,銅はほとんど使ったことがない。工業材料(特に機械工学において)として鋼やアルミと比較して,銅の使われる場所は多くない。

その2ではまず値段のことを記すことにする。

銅の板を最初MISUMIで買おうと検索したら,板厚が5 mmが最薄であり,幅300 mm × 300 mmのものが¥18,000(税別)もした!!

うつ病療養のため,日中の落ち込み防止というかそんなことに使う道具に,¥18,000も出費はできない。そして,MISUMIは個人に売ってくれない。

困った時はAmazonがある。検索してみた。有った。板厚1 mmが¥3,456板厚2 mmになると¥6.642

Amazonで見つけた銅板

私には,まだまだ高価だ。

高橋雅子さんは,なぜ銅板を使用しているのか?熱伝導が良いためと著書に記している。

こういう時,機械屋は便利だ。熱伝導のためだったら,銅じゃなきゃNGか?と技術上の疑問が湧く。熱伝導ならば,アルミだって鋼やステンレスより良い。

Amazonでアルミプレートを探したことはその1に多く記したから繰り返さない。検索した結果だけを書けば,幅300 mm × 奥行300 mm × 板厚2  mmの場合には¥1.739である。幅300 mm × 奥行300 mm × 板厚1 mmの場合なら¥1,363である(それぞれ,日によって値段は変わるかも知れない)。

板厚1 mmか2 mmか?機械屋であるならば,それを決める設計計算をすべきだ。そう,計算をすべきだ。でも,アルミの板厚1 mm?という感覚が働く。値段の差も大したことがない。そのため,板厚 2mmを買った。そして,これも,感覚的に予備品も欲しいと思って二枚(一枚でも二枚でも送料は同じだ!)。

そして,二枚使いだとこういうことが可能になった。右は,焼きあがってオーブンから出して網の上で冷ましているパンであり,左は,これからオーブンに入れる直前のパン生地である。

DSCN7474.jpg
ガスレンジ上に置いたアルミプレート二枚横置き例

やはり,長くなってしまった。

機械屋らしいことは,その3から記す(その3で終わるかわからないが)。

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アルミプレートをオーブンシート・銅板・スリップピールの代用にすること(その1)

パン,特に,バケットタイプの長いパンを焼き始めて困ったことは,オーブンレンジ天板が平板でないことだ。フランジが付いて,断面が凹の形になっている。よって,パンの長さは,最長でも凹部分の正方形の対線長さになる。

また,もう一つの困りごとは,二次発酵が終わってクープを入れるために移す道具だ。取り敢えずの出費を避けたかったから,オーブンシートを使っていた。しかし,オーブンシートには下のような温度(250 °C)と使用時間(20 min)の制限ある。我が家のオーブンレンジは250 °Cが使用最高温度であり,前者は問題ない。しかし,後者の使用時間の制限は,少し大きめのパンを焼こうとすると,生焼けが起きる。

メーカに温度を下げれば,使用時間を長くすることは可能かとも問い合わせてみたが,保証できないと言われた。

銅板を使うことは,高橋雅子さん著書『ゆっくり発酵 バゲット&リュスティック (少しのイーストでつくるパン3)』に銅板を使うことが紹介されている。

しかし,銅板を使うことについて,メカニカルエンジニアとして,いろいろと考えることがあった。

そこで,アルミプレートを利用することにした。

寸法,幅300 mm × 奥行300 mm × 板厚2 mmである。

使うイメージは以下のよう。オーブンレンジが出した後であるが,アルミプレートは焼けたりしない。

DSCN7403.jpg
アルミプレートを利用したバケット作りの例

なぜ,アルミプレートなのか,後日,その2の記事を書くつもりである。

しかし,最も難しかったのは,我が家のオーブンレンジに合う寸法のアルミプレートを買うことだった。

金属板は街の鋼材屋さんに行けば入手できる。しかし,企業向けだから,一見さんに,半端な寸法の儲けにならない板を売ってくれるとは限らない。それに,鋼板と違いアルミ板が常に在庫があるとも限らない。

職場であれば,機械部品商社のMISUMIから簡単に買える。しかし,MISUMIは個人には売ってはくれない。

それで,Amzonで検索してみたが,幅100 mm × 奥行300 mm や幅200 mm × 奥行300 mmは沢山あるのだが,幅300 mm × 奥行300 mmの寸法のものがない。あれほど,Amazonの検索結果をあれほどスクロールしたことは,かつてなかった。

Amazonの検索結果はAmazonプレイム対象と売れ筋から出てくる。幅と奥行が良くても厚さが薄かったりして,規格外とせざるを得ない。

DSCN7401
エスコ 300x300x2.0mmアルミ板 EA441VC-21

ようやく見つけたのが以下のものだった。しかし,届くまでは,不安が二つあった。

アルミプレートのAmazon掲載の写真

一つは,Amazonに掲載されている下の写真が寸法と違うものだったからだ。どう見ても長方形だ。でも,仕方ない。安いので,二枚買った。一枚が¥1,739だ。配送料はかかるるが,Amazonプライムではないので仕方がない。

二つの心配は,メカニカルエンジニア特有の心配だ。もし,板の表面に油が付着していたらどうしよう?というものだ。機械部品用の金属材料を買うと,表面に錆防止の油が付いていることがある。それを除去するのには,アセトンを一般に使うが,アセトンは個人では購入できない。塗料用シンナーということも考えられるが,マンションでシンナーなど使ったら近所迷惑になる。

届くまで1 weekほどかかった。名古屋の機械部品商社から簡素な梱包で送られてきた。心配事二つは杞憂であった。寸法は,ぴったりだったし,油も付着していなかった(この理由も後日書く)。

ただ,板の周りを指で軽くなぞるとバリが出ている。素手で扱うと,指をひっかいてしまう可能性が高い。我が家に,ダイソーで買った100番のサンドペーパー(紙やすり)があったので,それで,周囲をこすって,怪我をしない程度に磨いた。本当は,棒ヤスリで完全にバリを取ってしまう方が良いのだが,まぁ,大丈夫そうであった。

板を買うだけ,これだけの記事になる。なぜ,アルミにしたかは,備忘録として改めてその2以降の記事を書く。
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リーンなパン(番外:リーンなパンのトーストに焦げ目が現れないことについて)

三日前に焼いたルヴァン種とレーズン種のパンを昨日カットしてから冷凍しておき、

今朝、トーストにして食した。

カンパーニュもどきもときどきトーストにして食してはいたが、今朝のトーストを見て、疑問が湧いた。

リーンなパンのトーストは、三、四分くらいオーブントースターて炙ったくらいでは、一般的な食パンのような焦げ目はできないのである。

理由は不明である。

しかし、推察は可能だ。

リーンなパンには、糖質も油脂も添加していない。粉と種と塩と水だけである。

それをトーストすると(特に冷凍保存した場合)、最も最初に起きる現象は、パン中の凍った水が溶融することであろう。そして、次に起きる現象は水の蒸発である。

鍋に水を入れて沸かす場合、空焚きにならない限り、直火が当たっている部分を除けば変色することはない。

それと同じことが、含水量の多いリーンなパンにおいても起きているように考えられる。

パン中の水が全て蒸発してしまえば、焦げ目ができるであろうが、水分が多いうちは、水の相変化にトースターの熱が使われ、パンのデンプンが焦げるまでに至らない。

同じようなことは、果実のジャムや小豆から餡を作るときに、水分が多いうちは、加えた砂糖が焦げないというときにも経験する。

と、すると、一般的なトーストの焦げ目は、添加された油脂(バターやマーガリン)によるものなのであろう。

比較対象するものがあると、なんでも不思議に感じて、何故か?と、考えたくなるのは、エンジニアの職業病の一つである。

リーンなパン(その26:強力粉と薄力粉を使ってフランスパン用小麦粉のタンパク質量に合わせる)

パン作りの参考にしている 志賀勝栄さんの『酵母から考えるパンづくり』の最初に出てくるパンはフランスパン用小麦粉と微量イーストを使ったバケットである。

しかし、フランスパン用小麦粉は、普通のスーパーには置いてないのと、そして、いささか高価である。

それならと、普通に入手可能な強力粉と薄力粉から、フランスパン用小麦粉にタンパク質量を合わせることにしている。

その方法。

志賀さんの例示しているバケットに使っている小麦粉は、
フランスパン用小麦粉(モンブラン) 70 %(タンパク質11.3 %)
フランスパン産小麦粉(タイプ65) 20%
麺用粉(麺許皆伝) 10 %(タンパク質8.2 %)

ただし、ここでは、モンブラン70 %、タイプ65を30 %として考えることにする。

私の使う強力粉のタンパク質量は、13.1 %、薄力粉のタンパク質量は8 %と粉の袋に表示されている。

使う強力粉の量をx、薄力粉の量をyとし、両方で、250 gにするとする。

このとき、以下の関係がなりたつ。

13.1x + 8y = 11.3×250×0.7 + 8.2×250×0.3 (式1)

x + y = 250 (式2)

これは、xとyの線形連立方程式である。

式1と2は、中学生の習う変数消去法により解を得られるが、もう少し、楽な解法を使う。

gooブログのエディタで数式を入力することができないので、Wolframalphを使った結果を示す。

このリンクは、以下の通り。
強力粉と薄力粉の量の計算

この計算は、式1と2のxとyの係数を2×2の行列にして、作った行列の逆行列をかけてxとyを求めるという、行列とベクトルの最も代表的な使い方である。

得られた強力粉と薄力粉の量は、それぞれ、178 gと72gである。

多くのフランスパンのレシピにおいて、強力粉と薄力粉は、およそ2:1程度の分量になっているが、それは、小麦粉のタンパク質量をフランスパン用小麦粉に合わせるためであることが、この計算からわかる。

一見面倒くさそうに見える計算であるが、代入法で解くよりは、計算間違えをする可能性が少ないのと、小麦粉の総量をWとすれば、総量を変えた場合の計算も簡単にできる。

その計算は、以下の通り。

同様のことは、志賀さんの他のパンにも応用できる。