リキッド・ルヴァン水分の加水率への反映について

パン作り(設計)において,小麦粉の量(重さ)に対しする酵母の量と水の量は,最も重要なパラメータであると考える。ドライイーストを使用してパンを作る場合には,粉の量に対する水の量(加水)の割合(加水率)のみを定めれば,出来上がるパンの特徴は大凡決まる。

一方,発酵種を使用してパンを作る場合においては,発酵種が含有する水分の量を加水率に考慮する必要がある。

私は,レーズン発酵種を液種のまま使用しており,その場合,粉に混ぜる発酵種はほとんど水分とみなせると考え,加水率の一部としている。

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レーズン発酵種
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レーズン発酵種の計量 2016/2/17 20:07

しかし,小麦粉を水により練った上で発酵させるルヴァン種,特に,リキッド・ルヴァンにおいて,その水分をどのように考えるべきは,一考を要する。

ライ麦粉を発酵させて作るサワー種の水分を加水率に反映することについては,志賀勝栄著「酵母から考えるパンづくり」pp.128-131.に紹介されているファインブロートのレシピにおいて,「サワー種の半量をライ麦粉として計算する。」ということが記載されている(同書p.130)。

一方,同書において,ドウ(小麦粉を水で練ったものの総称)を発酵させる老麺を使ったエーデルというパンについては,老麺の含有する粉量と水分をどのように考えるべきかの記載はない。これは,ファインブロートに使うサワー種は粉量に対して40%であるが,老麺を使う量が粉量の5%と小さいということも関係しているであろう。

しかしながら,家庭において作るパンでは,粉量が多くても精々400〜500 g程度である(パン・ド・カンパーニュを二次発酵させる直径約20 cmの発酵籠では粉量400〜450 g程度,1.5斤の角パン型の場合では粉量500 g程度である)。よって,リキッド・ルヴァンをどの程度粉に混ぜるかにもよるが,私が作るパンの場合に限定するれば,粉量の10 %程度は使用するため,リキッド・ルヴァンが含有する水分を加水率をどのように反映するかは,パンを設計する上で,非常に重要である。

結論を先に示す。私の場合は,リキッド・ルヴァンを起こす際(当ブログの 「少量のルヴァン種(リキッド・ルヴァン)を起こす」 などの過去記事を参照されたい)に,粉に混ぜる水の量の割合をリキッド・ルヴァンの含水率として,パンを設計する際の加水率に反映させている。

この結論に至るまでには,試行錯誤を繰り返している。

例えば,2016年2月14日に焼いたパン・ド・カンパーニュは加水率を65%として設計したが,リキッド・ルヴァンの水分を加水率に加えなかった。焼きあがったパンは以下のようになった。生地を捏ねてる時点において,緩い感じがあった。その通り,パンが上に釜伸びせず,平べったい形となった。水が多かったためであろう。

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リキッド・ルヴァンの含水量を加水率に加えなかったパン・ド・カンパーニュ

一方,2016年2月28に焼いたパン・ド・カンパーニュは加水率を62%として設計した。以下のような材料である。

・強力粉:300 g

・薄力粉:100 g

・ライ麦粉:50 g

・ルヴァン種(リキッドルヴァン):40 g

・レーズン発酵種:27 g

・りんご発酵種:34 g

・食塩:6.2 g

・水: 207 g(加水率62 %相当に調整)

粉量は450 gである。水は207 gであるから,見かけの加水率は207/450=0.46=46 %となる。しかし,レーズン発酵種とりんご発酵種をそれぞれ,27 gと34 gを加えていて,それを加水率に反映すると,(207+27+34)/450=0.60=60 %となる。

加えて,リキッド・ルヴァンを40 gを加えている。リキッド・ルヴァンを起こす,および,種継ぎする際には,粉と水の割合を1:1.1としているため,その含水量を,

40×1.1/(1+1.1)=21 g

と見積もることができる。これを,加水率に反映すると,

(207+27+34+21)/450 = 0.64 = 64 %となる(加水率62 %として設計したのだが,計量の段階で計算を間違えた)。

焼きあがったパンは以下の通りであるが,上のものより,上に釜伸びしている。加水率が少ない証である。

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パン・ド・カンパーニュ 2016/2/28 焼成後705 g

それでは,リキッド・ルヴァンの粉と水の割合の1:1.1をどのように決めたかであるが,それは,単に志賀勝栄著「酵母から考えるパンづくり」p.17に紹介されている配合を真似したに過ぎない。

種継ぎの場合においても,それを厳密に守っている。このことにより,次回パンを作る際にリキッド・ルヴァンの水分を加水率に反映し易くなる。

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リキッド・ルヴァンの種継ぎ:小麦粉の計量
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リキッド・ルヴァンの種継ぎ:水の計量
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リキッド・ルヴァンの種継ぎ:元種を加えた様子

以上が,私が,我流によりリキッド・ルヴァンを使う際に,加水率との関係について留意するようになった事項である。

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少量のルヴァン種(リキッド・ルヴァン)を起こす。

<1.はじめに>

私は,ドライイーストをほとんど使わずに,主に発酵種(一般に天然酵母と呼ばれるもの)を使ってパンを作っている。特に汎用的に使用するのが,小麦粉から起こす発酵種であるルヴァン種である。ルヴァン種にはゲル状のものと液状のものがあり,液状のものはリキッド・ルヴァンと呼ばれる。私が使っているのは,リキッド・ルヴァンである。以下,ルヴァン種とリキッド・ルヴァンの併記は面倒であるため,単に,リキッド・ルヴァンとする。

リキッド・ルヴァンを主に使う理由は,主に,二つである。

1.パンの歴史を考えると,最も原始的な発酵種と考えられること。

2.パンを作る小麦粉と同じ材料であること(いわば,親子丼の鶏肉と卵の関係と言えると考えている)。

リキッド・ルヴァンの起こし方は,以下の文献を参考として始めた。

『参考文献:志賀勝栄,”酵母から考えるパンづくり”,p. 17,柴田書(2007/4)』。

しかし,上記参考文献に紹介されているレシピの量は,私が一回に使うリキッド・ルヴァンの量としては多い。そのため,これまで,使いきれなかった分を廃棄するということが生じていた。

今回,我が家が週末に一度に作るパンの量に合わせて,少量のリキッド・ルヴァンを起こす試みを行ったので紹介する。

<2.材料>

以下のライ麦粉,全粒粉,および,小麦粉(薄力粉)を使用した。水は水道水を使用した。

パイオニア ライ麦粉 中挽き500g
パイオニア 全粒粉 400g

奥村製粉製 Star Select(プライベートブランド)薄力粉

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奥村製粉製 Star Select プライベートブランド 薄力粉 (¥158/kg税別)

 

<3.リキッド・ルヴァンを起こす過程>

六日間の工程によりリキッド・ルヴァンを起こしを行った。

温度条件:室温(18〜25°C程度)。部屋の暖房と日射のみ。深夜は暖房なし。

前日の種 種削ぎ落し 粉計量 水計量 前日種計量 混合
初日 ——– ———

DSCN7623.jpg
ライ麦粉30 g

DSCN7624.jpg
38°Cぬるま湯 33 g
——

DSCN7627.jpg
初日混合状態
二日目

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初日種24h後

表面を削ぐ
表面を削ぐ

DSCN7642.jpg
ライ麦粉 30 g

DSCN7644.jpg
38°Cぬるま湯33 g

DSCN7649.jpg
前日種39 g

DSCN7650.jpg
二日目混合状態
三日目

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前日種24h後

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表面削ぎ落し

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全粒粉 50 g

DSCN7657.jpg
38°Cぬるま湯 55 g

DSCN7661
前日種69 g

DSCN7662.jpg
三日目混合状態
四日目

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前日種25 h後

DSCN7677.jpg
表面削ぎ落し

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薄力粉 50 g

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38°Cぬるま湯 55 g

DSCN7678.jpg
前日種80 g

DSCN7679.jpg
四日目混合状態
五日目

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前日種24 h後

DSCN7686.jpg
表面削ぎ落し

DSCN7683.jpg
薄力粉 50 g

DSCN7684.jpg
25°C水 55 g

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前日種 110 g

DSCN7688.jpg
五日目混合状態
六日目

DSCN7693.jpg
リキッド・ルヴァン完成(前日種から30 h後)

完成したリキッド・ルヴァンは215 gである。

DSCN7693.jpg
リキッド・ルヴァン完成(前日種から30 h後)

<4.リキッド・ルヴァンの使用>

リキッド・ルヴァン完成の翌日〜翌々日にかけて,158 gを使用し4種類のパンを作った。

DSCN7716.jpg
2016年2月28日週のパン
DSCN7716
2016年2月28日週のパン

パンの詳細は本ブログの過去記事『パンを焼く日:2016年2月28日週のパン4種類』に記載している。

<5.今後の予定>

残ったリキッド・ルヴァンを基に,薄力粉を使用して種継ぎを行い,2016年3月第一週末に作るパンに使用する予定である。

以上。

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自分で作って食べるためのパンを考える(その5:二次発酵・焼成)〜バターロールレシピへの疑問から〜

この記事にはその1〜4までの過去記事があります。

自分で作って食べるためのパンを考える(その1:材料)〜バターロールレシピへの疑問から〜

自分で作って食べるためのパンを考える(その2:ドウ作り=生地捏ね)〜バターロールレシピへの疑問から〜

自分で作って食べるためのパンを考える(その3:一次発酵)〜バターロールレシピへの疑問から〜

自分で作って食べるためのパンを考える(その4:ベンチタイム・成形)〜バターロールレシピへの疑問から〜

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私の見ているバターロールのレシピには,二次発酵と焼成について,以下のように記載されている。

・(成形した生地を)天板に並べ,38°C位の場所で生地が乾かないようにして約40分間発酵させる。

・表面に溶き卵薄く塗り,210°Cのオーブンで9〜14分間焼く。

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この記載を見たら,自宅でパンなんか作りたくなくなる。それほど,いじめに近いレシピだ。以下に不親切かを列挙する。

1.(成形した生地を)天板に並べることの無意味さ:恐らく,このレシピを書いた人は,パン屋さんの天板をイメージしている。パン屋さんのオーブンであれば,冷えた金属板に生地を並べても十分に予熱したオーブンを使ってパンを焼くことができる。しかし,家庭用オーブンを使ってパンを焼く際に,オーブンの予熱に要する熱は,天板を暖めることに多くが使われるはずである。だから,パンのレシピ本を見れば,天板も一緒に予熱するように描かれている(例えば,高橋雅子さんの『ゆっくり発酵 バゲット&リュスティック (少しのイーストでつくるパン3)』

熱力学的に考えても,予熱したオーブンに熱容量の大きな天板(一般には鋼にホウロウ加工がされている)を入れることは,エネルギーの無駄でしかない。

パン作りに詳しい人なら,そのため,パン作りをしている人の間では,『パンをサクッと焼く魔法の銅板』なるものが使われているらしい。銅板を使わずとも,オーブンシートを使うのは常識である。

一方,私は,金属材料の機械的性質と熱的性質および科学的性質を考慮するれば,銅板ではなくアルミプレート(アルミは銅より安い)の使用で十分だと考えており,当ブログにそのような投稿もしている(過去記事:『アルミプレートをオーブンシート・銅板・スリップピールの代用にすること(その3)』)。

エスコ 300x300x2.0mmアルミ板 EA441VC-21

すなわち,二次発酵をさせる方法自体が,パン作り初心者のためのレシピではない。

2.二次発酵温度38°Cの環境を家庭においてどのように作るかという課題:オーブン機能付き電子レンジの発酵機能を利用すれば,38°Cの温度環境を作れる。我が家の電子レンジの発酵温度は30°Cと40°Cになっている。しかし,それでは,40分も電子レンジが使えないことになる!!また,一般にホイロと呼ばれる発酵器 を利用しても可能であろうが,いずれにせよ,電気代なり機材の費用がかかることになる。こういうことを称して,私は「いじめ」と呼んでいる。

3.生地が乾かないようにすることの意味は?:これは作ろうとするパンのコンセプトに依存するのであるが,志賀勝栄さんの著書『パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ)』230頁によると,二次発酵(最終発酵)は生地を休ませることと表面を乾かすことだという。
私が作るパンは油脂や卵を入れていないパンばかりであるが,確かに,二次発酵において表面を乾かした方が,クープが入れやすい。バターロールはクープを入れないパンであるから,比較することの意味があるのかとも思うが,敢えて難しいことを記載しているように思われて仕方がない。

4.焼成時間の範囲が9〜14分と幅が大きいこと:オーブンの温度は210°Cと厳格に仕様を規定しているのに対して,焼成時間は幅が広い。9分焼いてみて,そのあと少しづつ時間を延ばせという風に理解できる。しかし,問題なのは,我が家のオーブン(三菱電機製)は,オーブンの窓から中の焼き具合がよく見えないことだ。ふくらんだがどうかはわかるが,焼き色までは窓から覗き見るのではわからない。よって,細切れに時間を延ばしたらその度に,オーブンのドアを開けなければならない。

レシピを書いた人からすれば,何度かやって,自分のオーブンに合った焼き時間を決めろということかもしれないが,そうであれば,あらかじめ「10分くらいを目安にオーブンによって調整しろ」と書けば良い。わざわざ,9〜14分と仕様を決めることは不要だ。

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私のプチパンの二次発酵から焼成の例

二次発酵に「布取り」と言われる帆布を使う手法を使っている。帆布はパンマットなどと呼ばれて,製パン用品として売られている。

しかし,ユザワヤなども手芸用の帆布が購入可能である。例えば,アマゾンで探すと,以下のようなものが見つかる。

帆布 6号 生成り 極厚 カット単位 1m 連続カット

二次発酵開始 2016/2/18 13:45
二次発酵開始 2016/2/18 13:45
二次発酵終了 2016/2/18 15:37
二次発酵終了 2016/2/18 15:37
アルミプレートに生地を移す 2016/2/18 15:38
アルミプレートに生地を移す 2016/2/18 15:38
クープ入れ完了 2016/2/18 15:41
クープ入れ完了 2016/2/18 15:41
焼成完了 2016/2/18 16:15
焼成完了 2016/2/18 16:15

※焼成時間は23分であったが,オーブンの予熱調整のため,オーブンに生地を入れるの少し遅くなり,クープ入れから焼成完了まで,少し時間をロスしている。

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繰り返しすが,バターロールの参考レシピは,パン作り初心者にとっても,とても難しいものであると考える。その1〜その5によりパンの工程を全てを書くことができた。

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自分で作って食べるためのパンを考える(その4:ベンチタイム・成形)〜バターロールレシピへの疑問から〜

この記事にはその1〜3までの過去記事があります。

自分で作って食べるためのパンを考える(その1:材料)〜バターロールレシピへの疑問から〜

自分で作って食べるためのパンを考える(その2:ドウ作り=生地捏ね)〜バターロールレシピへの疑問から〜

自分で作って食べるためのパンを考える(その3:一次発酵)〜バターロールレシピへの疑問から〜

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私が見ているバターロールレシピのベンチタイムと成形は以下のように記載されている。

一次発酵が完了したら(この文言はないが),

・12等分して生地を丸めて並べ,濡れ布巾を掛けて約10分間休ませる。

・麺棒で長細い三角形にのばし,幅の広いほうから巻いてロール型にする。

**************

おそらく,この記述だけにより,バターロールの成形をすることは,パン作りの経験がない人には不可能に近い。

私の経験も含めて,問題点を列挙していく。

1.生地を12等分することが難しいこと:このレシピを書いた人の頭の中には,一次発酵が完了した生地を『円形』にすることが想定されている。しかし,実際に一次発酵が終わった生地をボウルから取り出しても,円形ではなく,形はいびつである。

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一次発酵が終わって発酵容器から取り出した生地の私のパンの例 2016/2/18 13:23

円形にするためには,12等分する前に一手間かかる。それは,志賀勝栄さんの著書「酵母から考えるパンづくり」に記載されている,ベンチタイム前の形状の作り方を読めば理解できる。志賀さんの本では,その前の生地の形でさえ丁寧に解説されている(ベンチタイムとは何かについては,志賀勝栄さんの著書『パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ)』223〜225頁を参照されたい)。

そして,仮に,円形に生地を成形できたとしても,『12等分』というのが,とても,厄介だ。一つの円から12等分するのであれば,円の外周を30°ごとに分割することになる。ホールケーキを切り分けた経験のある人ならわかるはずであるが,目視により,30°を測るのは容易ではない。90°ごと(つまり4分割は結構簡単だ)。しかし,6分割とは12分割は,難しい。特に,中心部分が,切り分けていくうちに,どんどん,潰れていく。

この作業は,『ご参考レシピ』として記載されるような簡単な技能ではなく,パン作りをある程度経験した人にしか,作業は,恐らくできない。

2.用意と片付けに困る濡れ布巾:パンのご参考レシピを読むと,どこかで,「濡れ布巾」というのが出てくる。これが,パンを作ろうとするとき,初心者には,とても困る。なぜなら,濡れ布巾にして良い布がないからだ。

かつての日本には,木綿製の手ぬぐいがあった。それを使えば,一応濡れ布巾にできる。しかし,今は,ほとんど,タオル生地の布巾であったり,ペーパータオルであったり,セルロース製布巾であったりする。つまり,手ぬぐいがない。

我が家に,手ぬぐいがないかといえば,あるが,パン作りのために使うと粉が付いて汚れる。洗えば済むが,小麦粉が付いた布を洗濯機に入れるわけにいかない。つまり,片付けに困る。

よって,私は,ベンチタイムであっても,濡れ布巾は使用していない。

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ベンチタイム開始 2016/2/18 13:27
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ベンチタイム終了 2016/2/18 13:42

3.麺棒で長細い三角形にのばすことの難しさおよび麺棒の必要性について:麺棒を使った人にしかわからないことであるが,麺棒で生地を形良くのばすのは難しい。形がいびつになるのである。まず,三角形にはならない。うまくいってもティアドロップの形(涙型)であろう。数学のトポロジー的に考えれば,三角形もティアドロップも同じとして扱えるが,パン作りでは異なるであろう。

なぜ,うまく三角形にならないかというと,生地の厚さが,均一ではないからである。それは,分割する前に丁寧に成形するかによる。そこの気遣いを怠ると,成形に失敗する。

そして,やはり,成形に麺棒が出てくる。パン作りの参考レシピに濡れ布巾と一緒に出てくるのが麺棒なのである。せっかく一次発酵させた生地を,なぜ,麺棒で潰さないといけないのか?という,疑問が湧く。志賀勝栄さんの著書「酵母から考えるパンづくり」に麺棒を使うレシピはない。すべて,手で成形する。そして,できるだけ,ガスを抜かない気遣いを伝えてくれている。そうだろう,そうだと思う。

そのため,志賀さんの本では,バターロールではなく,プチパンの成形方法が紹介さ   れている。私はプチパンをよく作るが,それは,上記の疑問に対する,志賀さんの本に記載された回答に依っている。

そして,成形が終わって二次発酵に移ると下の写真のようになる。

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二次発酵開始2016/2/18 14:45

12等分は難しいので8等分にして成形し,麺棒も使っていない。

一次発酵させた容器から麺打ち台に生地を取り出してからの所要時間は,ベンチタイムを含み22分である。この程度の時間であれば,ストレスにはならない。

ただし,この22分は,私のベストエフォートである。成形の時間を短くするために,プチパンの成形を両手で一つずつ,つまり,二個を一遍に行った。そのため,形は,少し雑である。しかし,一個ずつ成形しても,30分以内には,できるであろう。また,写真は,麺打ち台を片付けたり,その他の作業を終わって手を洗ってからカメラを手にしたから,正味の成形時間は22分よりも短い。

何を言いたいかというと,私は簡単にパンを成形している。一方,バターロールの参考レシピは難しいということである。

この一連のブログ記事は,パン作りを関係者があえて難しいものに思わせているのではないか?と,いうことについて,述べている。

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家で作るパンだってコストにこだわる。だから薄力粉を使う。実績はできた!

先日,薄力粉だけのパンを作った。これは,極端な例であるが,私が作るパンは,パン・ド・カンパーニュであろうがプチパンであろうが薄力粉を入れている

理由は,簡単である。パンを安く作るためである。

うちの近所のスーパーで売られている代表的な小麦粉は,以下の4種類である。

1.日清製粉 カメリア : ¥298/kg

2.昭和産業 強力粉  :¥258/kg

3.日清製粉 フラワー :¥198/kg

4.PB薄力粉(奥村製粉製1等粉):¥158/kg

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奥村製粉製 Star Select プライベートブランド 薄力粉 (¥158/kg税別)

ライ麦粉と全粒粉は別の高級スーパー(成城石井)で買うしかないので,高いのは諦めている。

パイオニア ライ麦粉 500g(Amazonで¥399)
パイオニア 全粒粉 400g(Amazonで¥324)

パンに関する本である,

および,

を読んだも者として,一等粉の強力粉や薄力粉よりもライ麦粉や全粒粉の方が単位重さあたりの値段が高い!ということ自体,許容できないでいる。

そして,強力粉は,薄力粉よりも1 kgあたり,エイやっと¥100も高価である。

私はリーンなパン(粉+水+酵母+食塩)しか作れない。

水は水道水。食塩は漬物やスパッゲッティを茹でる時に使うのと同じである(ほぼ100%が塩化ナトリウムNaClである。塩化マグネシウムMg2Cl3と塩化カルシウムCaCl2などという混ざり物なしである)。1 kgで¥100くらいだと思う。

水道水なんかでパンを作ったら美味しくないではないか!と思われるかもしれないが,水道水には,有難い塩素イオンClが入っている。これは,ドウ(パン生地のこと)発酵中の余計な菌を殺すのに役立ってくれるであろう。それに,パンを作るときに,食塩を入れるのであるから,加水した時点において,塩化ナトリウムNaClはナトリウムイオンNa+と塩素イオン Clに分かれる。意図的に入れるイオンなのであるから,もともと水に入っていたとしても,影響があるとは思い難い。

酵母のベースはルヴァン種(リキッドルヴァン)であるが,それだけだと酸味が強いので,レーズン発酵種を混ぜたり,あれば,他の発酵種を混ぜる。

そうなると,私が作るパンの材料費は,ほとんど小麦粉の値段で決まることになる。以前,自分のパンの材料費を計算したことがある(過去記事リンク)。

その計算から得た結論は,店頭で食パン1斤(焼成後の重さで約300 g)が,どうして,¥150〜¥300という値段で売ることが可能なのであろうという,疑問である。

私が作るパン・ド・カンパーニュは粉量400〜450 g加水率60〜65%であるが,焼成後の重さでは,700 gに近い。つまり,食パン2斤分である。日清製粉カメリアだけで作ると,粉代だけで¥120〜¥134にもなる!!

工場に勤めていた者のコスト感覚では,材料費の4倍以上の販売価格にしないと商売にならない。小さな店舗だとしても,二倍にはしないと,光熱費その他の経費がまかないえないはずである。だから,食パン1斤が¥150というのは,粉の値段を考慮すると,とても信じられない値段に思える。

パン屋さんが,大量に小麦粉を買うので,安価に仕入れていたとしても,小麦粉は国の統制品である(『主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律』という法律で売り買いが細かく規制されている)。実態は知らないが,まさか,業者向けは,小売の値段の半値ということはないであろう。もし,そうなら,フランス革命が起きてもおかしくないことだ!小麦粉の値段を安くしろと!誰に言うかというと,上記の法律を所管する農林水産大臣に対してである!!!

私の作るパンは,食事のためのパンだから,生活費の一部だ。家計簿上では米や野菜を買うとの同じ費目の食費である。だから,一円でも安くパンを作りたい。

長々と書いたが,そういう理由で,薄力粉を混ぜている。1 kgあたり¥100安いということは,薄力粉だけでパン・ド・カンパーニュを作ると仮定すれば,材料費は,エイやっと三分の二から半分近くになり得るということである。

幸いなことに,先日作った薄力粉だけのパン(レーズン発酵種を使用)は,思いの外,美味しかった。薄力粉だけのパンは軽いのである。物理的にも食感もだ。と,いうか,私が作りたかったパンに近いものであった。

薄力粉100%のパン焼成結果
薄力粉100%のパン
DSCN7671
粉量200 gに対して焼成後は260 gのパンが薄力粉だけのパンになった

おそらく,グラニュー糖や牛乳を混ぜたら,歯触りのよい,お菓子のようなパンになるであろう。

しかし,それでは,リッチなパンになるので,実際には作ることはないであろうが。

私からすれば,薄力粉で十分に美味しいパンが作れる!その実例を一つ得たことが,とても嬉しいのである。粉が安ければ,それだけ,多くのパンを作れるからだ。

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リーンなパン(その52:薄力粉のプチパン・レーズン発酵種を使用)

<1.はじめに>

薄力粉(奥村製粉 Star Select=川越市に本社があるスパーチェーン ヤオコー PB)だけを使ってパンを作ってみた。酵母としてはレーズン発酵種を使用した。

私のブログでは,材料を全て開示しているが,2.の動機が長文となったので,材料についての考え方について,後日,別の記事を投稿したいと考えている。

<2.薄力粉だけでパンを作ってみようとした動機>

(1)私がパン作りに没頭し始めたのは,志賀勝栄さんの『パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ)』を2015年9月に偶々読んでからである。
しかし,実は,それより3ヶ月ほど前に,体調を崩して休職していて,少し退屈し始めた頃,家にある粉が薄力粉だけでパンができないであろうかと,何回か試みたが,もちろん,なんの知識もないのであるから,全て失敗した。

(2)橋本愛さん主演の映画にリトル・フォレストという作品がある。東北地方のある村の中の店もない小さな集落において,橋本愛さんが演じる「いち子」(この映画の登場人物には全て姓がなく,名のみである)が,一人で自給自足のような暮らしをする姿を描いた映画である。『夏・秋編』と『冬・春編』がある。『夏・秋編』の方が先に公開された。
彼女は自分で米や野菜を育て,美味しそうな料理を作る。だから,映画は,いち子が作る料理を集めて,全体のストーリーになっている。

6月。雨の中での田んぼの草取りに疲れたいち子が服を乾かそうと,初夏にもかかわらず薪ストーブを燃やす。その火を勿体ないと思ったいち子は,パンを作る。地粉で作るパンである。

橋本愛さんについては,2013年度上期のNHK 連続ドラマ小説『あまちゃん』を観て以来,ファンになった。映画の告知を聞くと,『あまちゃん』と同時並行して,同じ岩手県において撮影していたらしい。それは,劇場で観るしかないと,当然,観た。2014年のことだ。その頃は,パンを自分が作ることになるなどとは思ってもみなかった。

リトル・フォレストが2016年1月末と2月初めにWOWOWにおいて放映された。パン作りとは関係なく,劇場で見落とした細部を見直そうとして,再び観た。パンを作るのは覚えていた。しかし,いち子が地粉を使っているのは,失念していた。いち子は,郵便屋さんが届ける郵便が,「また請求書だけ?」というような生活をしている。地粉だから,近所の農家から分けてもらったものであろう。うどんやすいとんを作るための小麦粉である。その地粉を使って,見事にパンを作る。クープも慣れた手つきで入れる。

WOWOWの放映を観て,『そっか,地粉を使ってパンができるんだ!!』と,私は喜んだ!そして,2015年の薄力粉を使ってパンを作った失敗を思い出した。

地粉を使ってパンができるのであれば,薄力粉だけを使用してパンができないわけがない,と,単純に考える。

ちょうど,発酵種を使い切る時期でもあった。このような動機により,薄力粉だけを使用してパンを作ってみようと考えた。これが,動機である。

<2.材料>

薄力粉:200 g。

食塩:3 g

酵母:レーズン発酵種

酵母の量と加水については,またの機会に記事を投稿したいと考えている。

捏ねたドウは下の写真のようになった。

DSCN7653
薄力粉100%から作ったドウ 2016/2/22 19:04

<3.一次発酵>室温(16〜17°C)×約18 h。

DSCN7654
一次発酵開始 2016/2/22 19:06
DSCN7655
一次発酵途中 2016/2/23 7:13
一次発酵終了 2016/2/23 13:07
一次発酵終了 2016/2/23 13:07

<4.成形・二次発酵>プチパンに成形し,室温(約20°C)×約2 h二次発酵させた。

プチパン用に分割しベンチタイム 2016/2/23 13:12
プチパン用に分割しベンチタイム 2016/2/23 13:12
二次発酵開始 2016/2/23 13:38
二次発酵開始 2016/2/23 13:38

<5.焼成条件・結果>

焼成条件:230°C×23 min

結果は以下の写真のようになった。かなり,釜伸びが起きた。

薄力粉100%のパン焼成結果
薄力粉100%のパン焼成結果

もちろん,アルミプレートを使用したが,裏は以下のような焦げ具合。

薄力粉100%のパンのアルミプレートとの接触部分
薄力粉100%のパンのアルミプレートとの接触部分

少し冷えたところで,クラムを見たくなり,一つを切断した。食してみたが,クラストはしっかりと歯ごたえがあり,クラムは柔らかいパンになった。

薄力粉100%のパン切断面
薄力粉100%のパン切断面

<6.まとめ>

薄力粉100%のパンを作ることができた。思ったよりも良い具合にできたと考えている。これを機会に,薄力粉パンの我が家の定番メニュー化を目指す。

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自分で作って食べるためのパンを考える(その3:一次発酵)〜バターロールレシピへの疑問から〜

この記事には,その1とその2の過去記事がある。

過去記事

自分で作って食べるためのパンを考える(その1:材料)〜バターロールレシピへの疑問から〜

自分で作って食べるためのパンを考える(その2:ドウ作り=生地捏ね)〜バターロールレシピへの疑問から〜

<1.はじめに>

パン作りにおいて一次発酵は,最も重要な工程である。

ただし,ドウを作る時点(材料の計量と生地捏ね)において,どのように発酵するかは,決まってしまう。よって,一次発酵にどのような手法を採用するかということは,ドウを作る前に決めることであって,パン設計の問題である。

作ろうとするパンの設計(コンセプトと呼んでも良いが,設計であると考える)が異なる場合,一次発酵の条件を議論しても有意義ではない。

しかし,パン作りを難しくしているモノがバターロールのレシピにはある。それは,議論というよりも指摘と呼ぶべきであろう。以下に,私の実績例と比較し,指摘事項を述べる。

パターロールレシピ 私の実績例
・生地の表面がなめらかになるように

・丸めて

・ボウルに入れ,

・ラップをかけて

・30 °C位の場所で

・約60分間発酵させる。

・生地を丸めて

・生地の量にあった容器に入れ

・ラップをかけて,

・周囲を輪ゴムにより止めて

・室温または冷蔵庫野菜室で

・12〜20時間発酵させる。

・この記事の例は室温16 °Cにおいて

・約17時間発酵させた。

私の実績例のパンの一次発酵例を示そう。

DSCN7541
一次発酵開始時点 2016/2/17 20:21
DSCN7542.jpg
一次発酵開始時10分後の温度 2016/2/17 20:31(書斎において発酵させている)

 

DSCN7559
一次発酵終了直前 2016/2/18 13:19

<2.バターロールの一次発酵についてのパン作り初心者の観点からの指摘事項>

1.発酵温度について:バターロールのレシピにおいては,発酵温度を『30 °C位』と仕様を規定している。夏であれば,エアコンの温度調整により,その温度環境は作りやすい。また,寒い季節であっても,ホイロと一般に呼ばれ発酵器 を利用すれば,温度環境を作り出せる。
しかし,パンをこれから作ってみようと思う人にとって,ホイロを必要とすることは,パン作りの敷居を高くする。

私も,持ってみたい気はしているが,写真のホイロであっても3万円以上するから,おいそれとは購入できない。そのような,背景があって,私は,室温発酵と冷蔵発酵を併用している。

2.発酵時間について:バターロールのレシピにおいては,発酵時間を『約60分間』と規定している。これも,パンを作ってみようとする者を悩ませる仕様である。二点を指摘したい。

(1)約60分は忙しい:60分の発酵時間では,途中,発酵具合を確認する手間などを考えると,ほぼ,生地に付きっ切りになる必要がある。ずうっと側にいなくとも,キッチンタイマーなど利用して,15分間隔程度(発酵終了間際であれば5分間隔程度)に発酵具合を確認する必要があるであろう。それでは,他のことが片手間にしかできない。つまり,バターロールのレシピに従うと,かなり忙しいことになる。

(2)温度条件による発酵時間のばらつきがわからない:約60分という一次発酵時間は発酵温度30 °Cの場合であろう。では,発酵温度が変わったら,発酵時間はどのように変化するのであろう。一般論で言えば,温度が高い場合には,発酵の進みは速く,温度が低い場合には,発酵の進みは遅くなる。そうなると,発酵中の生地から目を離すことができない。上記(1)において指摘した一次発酵中は忙しいということが,より助長されることになる。

3.発酵容器の選定について:バターロールのレシピにはボウルを使って発酵させるとなっている。パン作りの初心者であれば,間違いなく,ボウルを使うであろう。また,この連載のその2においてドウ(パン生地のこと)作りのためにもボウルを使うとこと記した。ドウを作るボウルと一次発酵をさえるボウルは同じとして良いのか,それとも別にすべきか。

このような問題は,パン作りに慣れた人であれば,問題にしない。答えば,別である。つまり,パンを作るためには,二つのボウルが必要である。

では,その二つのボウルは同じサイズか,それとも,異なるサイズかという別の疑問が,次に生じる(そんなことは常識的にわかる,と,言われそうであるが,わからない人が多いから,パン作りは難しいと思われている)。

私も,そのような疑問を抱いた。パン作りの練習のため,一日に,条件の異なるドウを作ろうした時,我が家にあるボウルが数が足りなかったのだ(今は,それなりに数はある)。一日に異なる条件のドウを作ると,一回にできるドウの量は少なくなる(コスト的な面と食べ切れるかという問題のためである)。この答えは,また,いずれ詳しい記事を書こうと考えているが,答えだけを書いてしまえば,以下のようになる。

(1)粉量300 g以上の場合:我が家の小さめのボウルを使う(容量は1リットル以上はあるが)。

(2)粉量200 g以下の場合:上の写真にあるように,ポリプロピレン製のタッパーを使う。容量は1リットルの場合と0.7リットルの場合がある。ともに,ダイソーで購入したものである。プラスチック容器を使うことに抵抗感を抱く方もいるかも知れない。まして,いわゆる,百均の製品である。しかし,材質がポリプロピレンであれば,技術的に問題ないであろう判断した。ただし,課題はある。一次発酵が完了し,容器からドウを取り出す際に,ボウルより取り出し難い。

<3.まとめ>

設計の異なるパンの一次発酵の仕様を議論しても有意義ではない。ただし,一次発酵の温度30 °Cと約60分間の仕様を家庭において実現しようとすると,少なくとも,これからパン作りをしてみようとする人には,問題が多々あるように考える。

※パン作りとは設計に基づくモノであり,エンジニアの仕事に似ている。しかし,それを実行に移せる時間と心の余裕があるかという問題は別である。

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自分で作って食べるためのパンを考える(その2:ドウ作り=生地捏ね)〜バターロールレシピへの疑問から〜

自分で作って食べるためのパンを考える。その2。ドウ作り=生地捏ねについて

過去記事

自分で作って食べるためのパンを考える(その1:材料)〜バターロールレシピへの疑問から〜

バターロール 私のパン実例
・ボウルの小麦粉+ドライイースト+砂糖+食塩入れて軽く混ぜる=A:この段階で加水は未である。

・Aに卵,牛乳,水を加え混ぜあわせる=B。

・生地がまとまってきたらバターを加えてよくこねる。

・生地がベタつかなくなったら台の上に取り出し,たたきつけ,折り込みながら150〜200回こねる。〜こねる時間の目安は15〜20分間が目安である。

 

・ボウルに全ての材料を入れる=65%加水率程度なら全て。

・ボウルに手を入れ,全体を反時計回りに数回ぐるぐる回す(私は右気なので反時計回り)=この段階でグルテンの粘りが表れ,生地はまとまってくる。

・生地に粘りが出てきたら,右から左に折りたたみ力を入れて押す。そして,その生地を伸ばす。これを繰り返す。時々前後にも伸ばして折りたたむ。この折り返す回数を数える。

※この折りたたむというのは,元になる本がある。戸田盛和著,カオス―混沌の中の法則 (New science age),岩波書店(1991/10)

この本の46〜48ページにパイこねを数学的に扱うとどういうことになるのか?ということが記載されている。私が折りたたんでは伸ばすというのは,そのことを実践しているのに過ぎない。

経験的には,バケットでは折りたたむのは15回程度,下の写真では200回。

写真二枚の時刻に着目いただきたい。

材料を計量し終わった状態からドウの一次発酵に移る手前までの時間は8分である。

DSCN7539
パンの材料を捏ねる前:2016/2/17 20:12
DSCN7540
生地捏ねが完了した状態(一次発酵に移る直前):2016/2/17 20:20バターロールのドウ作り(ドウとは小麦粉を水で練ったものの総称:パン生地もお好み焼きの生地も天ぷらの衣も全てドウである:舟田詠子著,パンの文化史 (講談社学術文庫)(2013/12)を参照願いたい)において,力学的に不思議な工程がある。

 

*『生地がベタつかなくなったら台の上に取り出し,たたきつけ』の部分の『たたきつけ』である。

なぜ,たたきつけるという乱暴な作業が必要なのであろうか?折角できたグルテンが壊れなりしないのであろうか?

もったいぶっても仕方ないので,私の推論を提示する。このブログ記事を偶々お読み頂いた方が,私の推論が間違いであることをご存知であれば,是非,コメントなどにより,ご指摘をお願いしたい。

パン生地をたたきつける理由の私の推論:バターロールのドウには,水と卵と牛乳とバターが入っている。卵は水に溶ける(天ぷらの衣やお好み焼きの生地)。水と牛乳も混ざり合う(パンケーキの生地)。一方,水とバターは混ぜただけでは溶け合わない。理由はバターは油脂類であり,エステル基(新化学化学基礎+化学 (チャート式・シリーズ)の444〜446頁参照=平成26年4月1日版)を持つ。エステル基は水分子を弾く。

混じり合わないものを混ぜて発酵するようにドウにしようとするのであるから,何らかの工夫が要る。恐らくであるが,バターと小麦粉と水に衝撃力を加えて,外力により強制的に混ざり合わせる作業が『たたきつけ』というものであろう。

パン捏ね台とパン生地では,生地の方が柔らかい。生地に勢いをつけて(速度をつけて)台に叩きつけると衝撃力が発生するが,柔らかい生地の変形が大きなる。

逆の例を示そう。大きな隕石が大気中において燃え尽きずに地表面に落下するとクレータを作ることはよく知られている。月には大気がないため,無数のクレータがある。これは,隕石よりも地表面や月面の方が柔らかいために,地面の方が変形するだけでは止まらずに,地面をえぐり出して・撒き散らす。それがクレータである。その逆のことが,ロールパン生地作りの『たたきつけ』ではないかと推察する。

たたきつけることによって,バターはより小さな塊となって,グルテンの膜の中に入り込んでいく。グルテンの中に入れば,小麦と水とバターは同じ部屋で同居できる。

なお,バターロールの生地を作るレシピに記載がないのであるが,パン生地作りにはぬるま湯を使うことが多い。イーストが発酵し易くするためである。私はドライイーストはあまり使わないが,水は,ぬるま湯を使う。しかし,バターロールのレシピ通り15〜20分も捏ねていたら,折角のぬるま湯も冷めてしまう。

バターロールのドウの作り方だけを読んだら,パンなんか作りたいと思わないはずだ。

しかし,志賀勝栄著,『酵母から考えるパンづくり』(2007/04)高橋雅子著,『少しのイーストでゆっくり発酵パン—こんな方法があったんだ。おいしさ再発見!』(2007/1)にはドウを作るときに,乱暴な『たたきつける』ようなことは,一切記載されていない。それどころか,可能な限り丁寧に扱うようにと記載されている。

 

強力粉の袋に記載されているバターロールのレシピは,パンを自力で作る人を増やしたくないための煙幕ではないかと思いたくなる。

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パン用発酵種保存瓶のコンタミ防止の合理的な方法はありますか?

果実パン用発酵種をガラス瓶で種おこしと保存を行っていますが,悩みは,コンタミ防止策です

細菌の知識がないため,我ながら,面倒な工程を組んでいます。

合理的な方法をご存知の方らいらっしゃいましたら,是非,ご教示いただきたく,本記事を投稿致しました。

現状の工程を以下に示します。問題点もご指摘頂ければ幸いです。

写真はジャム用ですが,発酵種用も同じ工程です。

工程1:瓶と金属蓋煮沸 80 °C以上× 10分目安

DSCN7514.jpg
瓶を鍋で煮沸 80°C以上で10分目安

工程2:ザルに引き上げる。

DSCN7516
煮沸が10分経ったらザルに引き上げます。

工程3:熱いうちに直ぐ蓋を締める。

DSCN7518.jpg
瓶が熱いうちに直ぐ蓋を閉めて自然に冷めるのを待ちます。

工程4:瓶が手で触って熱くない程度まで覚めたら,キッチン用アルコールを瓶内部と蓋内側に噴霧しています。消毒用アルコールを使いたいところですが,キッチン用アルコールより高いので,使わずにいます。直ぐに蓋を閉めて,そのまま保管しています。

DSCN7519
キッチン用アルコールを瓶内部と蓋に噴霧しています。

自分で作って食べるためのパンを考える(その1:材料)〜バターロールレシピへの疑問から〜

パン用に強力粉をスーパーで買うと,必ず,袋の裏にバターロールのレシピが印刷されている。高い小麦粉には,書かれていないのは,知っている。

そのレシピを見ると,パン作りは敢えて『難しい』と思わせたいのではないかと思えて仕方がない。

パンを作り出して(焼いてとは言わない)半年しか経っていないが,少なくとも,自宅で食べるパンは幾つか定番ができた。そのことも,いずれ記事にしたいが,その前に,バターロールレシピへの疑問を提示したくなった。

そのためには,自分が作っているパンと比較するのが最も簡単であると考えた。

長い記事になりそうなので,分割して,まずは,材料から。

バターロール材料 私のパン材料実績例:水なし・塩なしパン(2016/2/18)
材料A

強力粉:300 g

ドライイースト:6 g

砂糖:30 g!!

食塩 3g

バターロール材料Aに相当するモノ

強力粉:150 g

薄力粉:50 g

ルヴァン種:52 g

レーズン発酵種:30 g

りんご発酵種:70 g

材料B

卵(Mサイズ):1個(50g)

牛乳:30 ml

水:110 ml

バターロール材料Bに相当するモノ

※無し。

分量外

バター:30 g

卵(つや出し用):適宜

 バターロール材料の分量外に相当するモノ

※無し。

私のパンの実績例の材料計量の様子。日時を付記した。13分で材料準備が完了した。米の炊飯に例えれば,米の量を計る時間に相当する。

一方,バターロールの材料全てを計量をしたら何分かかるであろう?

DSCN7578
2016/2/17に使った粉の未開封のもの
DSCN7532.jpg
強力粉250 g計量 2016/2/17 19:59
DSCN7533.jpg
薄力粉計量 2016/2/17 20:00
DSCN7535
ルヴァン種(リキッドルヴァン)計量 2016/2/17 20:05
DSCN7536,jpg
リキッドルヴァンの計量結果
DSCN7537.jpg
レーズン発酵種の計量 2016/2/17 20:07
DSCN7538.jpg
りんご発酵種の計量 2016/2/7 20:09
DSCN7539
材料全て

バターロールの材料を集めることを考えると,イジメとしか思えない。と,いっても,私も,以下の二冊の本に出会わなければ,自分でパンを作ろうなどとは,思いもしなかったのではあるが。


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