先週(2016年6月19日焼成)のパン・ド・カンパーニュ 二種類

パンを作り始めて,始めての初夏・梅雨である。

室温が大きく変わってパン作りを思考錯誤していた。冬なら室温で長時間放っておけば,それなりに一次発酵したが,室温が28℃ともなると,発酵種のパンをどうやったら発酵させられるものか,手探りである(他の人のレシピを見ないので)。

とりあえずの答えはこんな感じになった。

2016年6月19日焼成パン総括表
2016年6月19日焼成パン総括表

焼成後結果(一つはカットしたけども)。

DSC_0495
パン・ド・カンパーニュ二種類

ライ麦粉を入れなかった方のクラムは以下のよう。

DSC_0496
カンパーニュ2のクラム

冬のパン作りから何を変えたかというと,種を多くして,一次発酵時間を短くした。

種を多くした分,加水率の計算には,リキッド・ルヴァンに使った薄力粉の量も反映することにした。そうしないと,加水率が低なり,焼成中に弾けてしまう。

一週間におけるリキッド・ルヴァンの種継ぎパターンについて

私は,一週間のうち1日にまとめて数種類のパンを焼く(例えば,過去記事:パンを焼く日(2016年3月20日週のパン四種類))。そのパンのほとんどにリキッド・ルヴァンを使用している。

このような場合,リキッド・ルヴァンの種継ぎはとても面倒なものとなる。

以前は,週に何日かパンを焼いていたため,その都度種継ぎをすれば済んでいたが,週に1日しか焼かないということは,ドウ(パン生地)を作るのも週に1日のみである。

リキッド・ルヴァンのようなサワー種に分類される発酵種は乳酸菌がその主要成分であるから,そうは長く保たせることができない。

ライ麦粉のみから起こすサワー種であれば,「乾燥」という方法により保存が効く(舟田詠子著「パンの文化史 (講談社学術文庫)」pp. 68-71)ようであるが,取り扱いが容易なリキッド・ルヴァンではそうはいかない。

リキッド・ルヴァン中の乳酸菌寿命は不明である。しかし,一週間を保たせることは難しいであろう。そうなると,週に複数回の種継ぎが必要になる。

一方,ドウを作る際には,できるだけ「活きの良い」種を使いたい。そうやっているうちにできたリキッド・ルヴァンの種継ぎパターンが以下のようなものである。

一週間に1日しかパンを焼かない私のリキッド・ルヴァン種継ぎパターン
一週間に1日しかパンを焼かない私のリキッド・ルヴァン種継ぎパターン

パンを混捏するのは週末金曜日か土曜日である。焼成日は土曜日か日曜日である。そうなると,金曜日にはリキッド・ルヴァンをそれなりの量が欲しい。

リキッド・ルヴァンの種継ぎはほぼ1日でできるから,水曜日〜木曜日に粉量100g以上により種継ぎする。粉量の1.1倍の水を加えるから,リキッド・ルヴァンは220g以上できることになる。容器はボウルである。

リキッド・ルヴァン 種継ぎ完了後(約23時間)
リキッド・ルヴァン 種継ぎ完了後(約23時間)

元種は,パン焼成日となる土曜日か日曜日の翌日に行う。粉量は30〜50gである。元種は,ドウ混捏日に残った分を全て入れてしまう。これで,およそ,150g〜200g程度の種継ぎになる。容器は,ポリプロピレン製のタッパーを利用している(ダイソーのもの)。ボウルでは大きすぎるのである。

粉量少量のリキッド・ルヴァン種継ぎ完了後の状態
粉量少量のリキッド・ルヴァン種継ぎ完了後の状態

それを,水曜日の元種にする。すると,木曜日には,約350gを超えるくらいのリキッド・ルヴァンができることになる。

この方法で,三週間ほど種継ぎを行っているが,また,どうにかパンを作れている。

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パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの詳細仕様

1.材料

パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの材料詳細
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの材料詳細

重さと費用の内訳をグラフ化すると以下のようになる。

なお,加水量は170g(加水率57%相当)である。よって,ドウ(パン生地)の重さは,823gとなる。

パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの材料重さ
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの材料重さ
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの材料費
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの材料費

日本のライ麦粉が高価であることがわかる。しかし,ドウの発酵と焼成後の味を考えるとライ麦粉を使わない訳にはいかない。

なお,強力粉と薄力粉を混ぜることによりエネルギー成分は以下のようになる(100gあたり)。

粉のブレンドのよるエネルギー成分の変化
粉のブレンドのよるエネルギー成分の変化

2.工程

パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの工程実績
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンの工程実績

赤の矢印が手を動かさなければならなかった部分である。焼成中の35分を含み,55分に過ぎない。パン・ド・カンパーニュは手間がかからないパンであると考えることができる。さすがは,フランスの「田舎パン」である。男性が作ってみるのにとても適していると考える。

なお,焼成条件は200°C×35分である(過去記事:2016年3月20日週のパンの焼成条件参照)。

3.焼成結果

パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョン
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョン
パン・ド・カンパーニュ焼成後770g
パン・ド・カンパーニュ焼成後770g

823gー770g=55gがどっかに行ったことになる。全体の6.7%である。

クラムの状態。

パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンクラムの状態
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンクラムの状態

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2016年3月20日週のパンの焼成条件

2016年3月20日秋のパン(過去記事:パンを焼く日(2016年3月20日週のパン四種類))においては,焼成条件に関する実験を試みた。

 

2016年3月20日週のパン四種類
2016年3月20日週のパン四種類

簡単にいってしまえば,焼成温度を下げた。

・プチパン:230°C→200°C。

・パン・ド・カンパーニュ:210°C→200°C。

パンの文献(本ブログ:参考文献参照)を読んでいると,パンの歴史は1万年以上ある(1)〜(3)にもかかわらず,最新のパンの研究においても,その中心は,「発酵」に重点が置かれている(6)ー(8),(10)

しかし,パン作りにおける最終工程である焼成条件をどのように決めるかについての知見を得ることができない。

唯一,志賀勝栄さんの著書「パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ)(1)において,フランスパンの代表であるバケットの焼成を高温(250°C)とし短時間(20 min)とする旨の記載がある。しかし,志賀勝栄さんのもう一つの著書「酵母から考えるパンづくり(4)を読むと上火255°C,下火225°Cとして,32 minとなっている。出版年が後者の著作の方が古いため,前者の著作の間にレシピが変わったことは考えられる。

このような背景においては,自分で作るパンの焼成条件は,自分で見出すしかない。

そのため,今回の記事のような実験を試みることになった。

温度を下げた動機は,パンを少し柔らかくするためである。私の作るパンはリーンなパンであり,いわゆるハード系と呼ばれるパンになる。しかし,リーンなパンは,時間の経過に伴い,内部(クラム)の水分が表面(クラスト)の染み出してるため,徐々に柔らかくなる。しかし,日数が一定以上すぎると,その染み出しが終わり,表面から乾燥し始める。よって,内部にどれだけ水分を保持されるかということがパンの日保ちに関係する。一方,焼成温度を下げると,パンの生焼けが起きやすい。表面に焼き色が付かない状態である。さらに,焼成条件には,焼成時間というもう一つのパラメータが関与する。

こういう,面倒なことは,理屈を考えるより,やってみる,つまり,「実験」する方が早く答えが出る。

実験において重要なのは,実験条件だけではなく,結果をどう評価するかである。評価方法を事前に決めておかないと,その実験は,全く意味をなさない。

今回の実験における評価項目は焼き色,釜伸び具合,および,クラムの状態とした。ただし,プチパンは切断していないため,焼き色と釜伸び具合となる。釜伸びは,下面の割れ具合で評価する。

結果を焼成の順番に示す。

1.無塩プチパン:焼成条件 200°C×24 min

無塩プチパン2016年3月20日バージョン上面
無塩プチパン2016年3月20日バージョン上面
無塩プチパン2016年3月20日バージョン下面
無塩プチパン2016年3月20日バージョン下面

2.プチパン:焼成条件 200°C×23min

プチパン 2016年3月20日バージョン上面
プチパン 2016年3月20日バージョン上面
プチパン2016年3月20日バージョン下面
プチパン2016年3月20日バージョン下面

3.レーズンプチパン:焼成条件200°C×20 min

レーズンプチパン2016年3月20日バージョン上面
レーズンプチパン2016年3月20日バージョン上面
レーズンプチパン2016年3月20日バージョン下面
レーズンプチパン2016年3月20日バージョン下面

4.パン・ド・カンパーニュ:焼成条件 200°C×35 min

パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョン
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョン
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョン下面
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョン下面
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンクラムの状態
パン・ド・カンパーニュ2016年3月20日バージョンクラムの状態

上記の写真を見ると,上面の焼き色は,個人的判断であるが,妥当と考えている。また,1〜4すべてにわたって,下面の極端な焼き色(いわゆる焦げ)はない。

しかし,1の無塩プチパンと2のプチパンの下面には割れが多く発生している。3のレーズンプチパンと4のパン・ド・カンパーニュの下面の割れはないと考えてよいであろう。

4 パン・ド・カンパーニュのクラムの状態も,妥当と考えている。

上記の写真から考えて,プチパンおよびパン・ド・カンパーニュとも焼成温度を200°Cに低下させたことは,上面の焼き色から,問題なさそうである。しかし,プチパンの焼成時間23 minとか24 minは長時間過ぎたように思われる(下面に割れが生じてしまっていることにより)。

パン作りとは,すべての工程にトラップが仕掛けられている。全く気を抜くことができない作業だらけである。そういう作業は総じて「職人作業」と呼ばれるのであるが,エンジニアの作業は,「職人作業」を一つひとつ,理屈に当てはめて一般化することである。そういうことを,自作のパンに対して行っている。

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パン・ド・カンパーニュ 2016年3月12日バージョンの仕様

<1.材料>

・強力粉(昭和産業強力) 350 g

・薄力粉(奥村製粉) 100 g

・ライ麦粉(パイオニア企画) 50 g

・リキッド・ルヴァン 63 g

・レーズン発酵種 42 g

・白無花果発酵種種 40 g

・食塩 8g

・水(38°C温度調節水道水) 190 g(加水率 61 %相当)

※発酵種を多めに入れ,加水率を下げた仕様とした。

<2.一次発酵>

室温(約18°C)×約 17 h (夕方16時〜朝9時)

<3.二次発酵>

室温(約22〜23°C)×約3.5 h

<4.焼成条件>

210°C× 35 min

<5.焼成後の状態>

パン・ド・カンパーニュ 2016/3/12バージョン
パン・ド・カンパーニュ 2016/3/12バージョン

焼成後の重さ785 g。

パン・ド・カンパーニュ焼成後の重さ 785 g
パン・ド・カンパーニュ焼成後の重さ 785 g

<6.焼成後三日目におけるクラムの状態>

焼成後三日目にパンにナイフを入れた。

パン・ド・カンパーニュ2016年3月12日バージョンのクラム
パン・ド・カンパーニュ2016年3月12日バージョンのクラム

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レーズン発酵種と白無花果発酵種の搾り工程(我流)

1.道具

茶漉し(直径70 mm=φ70)1個

ティースプーン 1個

DSCN77752.汚染防止(コンタミネーション=contamination防止,以下,コンタみ防止)

発酵種のコンタミ防止(日本語ならば,汚染防止となるのであるが,工学分野においては,英語のコンタみネーション=contaminationを略して「コンタミ」ということが多い)は,発酵種が空気などと接触する機会である,搾り工程が最もその可能性が高い。

よって,この工程のコンタみ防止策は,重要であると考えている。しかし,過程において実施可能なコンタミ防止策は限られている。

私の場合は,三つの手段による。

(1)茶漉し・スプーンの熱湯消毒(煮沸の代用)

DSCN7774
茶漉しとスプーンに熱湯をかける様子

この際,熱湯を十分にかける。鍋で煮るほうが確実であるが,手間がかかるので,事前にそれはやってある。茶漉しとスプーンをキッチン用洗剤を使って十分に洗浄しておくのは当然である。

(2)キッチン用アルコールによる除菌

ドラッグストアにキッチン用アルコールが,消毒用エタノールよりも安価に売られている。私は,消毒用エタノール(水分が20%程度入ったエタノール)を使いたいのであるが,コスト上の問題からキッチン用アルコールを使用している。

ほとんど「おまじない」であるが,熱湯消毒後の茶漉しとティースプーンにキッチン用アルコールを噴霧する(エンジニアは難しい言葉が好きだ。単に「かける」といえばいいのに,わざわざ,「噴霧」などという用語を使う)。

DSCN7777
キッチン用アルコールの噴霧

(3)移す瓶の蓋をラップにより包む

発酵種を搾る際,搾った発酵種を入れる瓶の蓋は無防備になる。そのため,蓋を開けたらすぐにラップにより包んでしまう。これは,コンタミ防止と,「空にする方の瓶」と「移し換える瓶」の蓋を識別するための「ポカ避け」の効果もある。

瓶が二つあって,その蓋がどちらのものかわからなくなる場合は,実際に少なくない。

DSCN7769
移す瓶の蓋のコンタミ防止

3.搾る

これは,写真を並べれば,済むであろう。

(1)レーズン発酵種の場合

DSCN7778
レーズン発酵種搾りの様子

今回,乾燥状態においてレーズンを50 g使用しているが,茶漉しには全てのレーズンが入る(当然,途中スプーンによりレーズンを潰しながらではある)。

コンタミ防止のため,茶漉しには可能な

(2)白無花果発酵種の場合

DSCN7771
白無花果発酵種の搾りの様子

レーズン発酵種と作業は同じである。ただし,白無花果発酵種は気泡が多く,また,液の粘度が高い。そのため,白無花果を「潰す」というよりも茶漉しの中で「かき混ぜる」というようなスプーンの動きにより搾っていく。

わずかな差ではあるが,白無花果発酵種の方が,搾るために要する時間は長い。粘度が高く,茶漉しの格子の間を通りにくいためである。

4.ラベル貼り

私は,搾った日の日付のラベルを瓶に貼付するようにしている。種継ぎや寿命の管理がし易いためである。

DSCN7779
レーズン発酵種3.11のラベル
DSCN7780
白無花果発酵種3.11のラベル

これで,搾りの作業は完了である。

5.発酵に使った瓶の煮沸

私は,可能な限り,発酵に使った瓶を洗って,直ぐに煮沸をしてしまう。そして,瓶の中と蓋にキッチン用アルコールを噴霧し,しっかり蓋を閉めて保管する。

過去記事参考:パン用発酵種保存瓶のコンタミ防止の合理的な方法はありますか?

そうすることによって,瓶のコンタミ防止になる。

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強力粉と薄力粉のパン・ド・カンパーニュ〜その材料の重さとコスト割合について〜

私は,現在,うつで休職中で,自宅に引きこもり状態である(だいぶ良くはなったが)。

一方,諸所事情があって,家内が単身赴任状態になっている。その家内が,手首を少し痛めていて,包丁を使って固いものを切るのも難儀そうなので,

家内用に「強力粉と薄力粉だけを使ったパン・ド・カンパーニュ」を作っている。

ライ麦粉を入れると少し,固めに焼きあがるためである。

 

強力粉と薄力粉のパン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン
強力粉と薄力粉のパン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン

以前は,食パンを焼いてスライスして持たせていたが,成形が楽なのと,室温保存し易いので,パン・ド・カンパーニュにしている。

私が作るパンは,毎回何らかの実験要素を含んでおり,似て非なる仕様となる。

2016年3月5日に作った「強力粉と薄力粉だけを使ったパン・ド・カンパーニュ」の仕様は以下の通りだ(過去記事:パンを焼く日(2016年3月6日週のパン5種類)

・強力粉 270 g

・薄力粉  80 g

・食塩 5 g

・リキッド・ルヴァン 63 g

・レーズン発酵種 40 g

・水 144 g(加水率 62 %相当)

・くるみ 約30 g

三月は,我が家は夫婦揃って誕生月である。それで,少し,贅沢をしてクルミ入りのパン・ド・カンパーニュにしてみた。

映画『リトル・フォレスト 夏・秋 』の中で,橋本愛さん演じる いち子 は裏山に落ちているクルミを拾って,殻を割り,実を取り出して料理する。手間はかかっているが,現金は要らない。

しかし,街にいる私に裏山は遠く,スーパーマーケットは近い。交通費を勘案すれば,買ったほうが安い。

パンを作ってから,一体パンの値段がどうなっているのかが気になりだした。それで,検討してみた。

作ってから,クルミ入りのパンがどれほど贅沢なのか,落ち着いて考えてみたくなった。下の表が検討結果である(金額は税別)。

クルミ入り強力粉と薄力粉のパン・ど・カンパーニュ材料の量と費用
クルミ入り強力粉と薄力粉のパン・ど・カンパーニュ材料の量と費用

使ったクルミは160 g入り¥599である。多くは要らなかったので,適量なものを買ったのだが,しかし,1000 gに正規化すると,何と¥3,743もする。何と,高級な食材なことか!

パンの材料費の半分近くが,クルミの値段だ!

グラフを示そう。まず,材料の重さの割合である。データラベルの単位はg(グラム)である。

クルミ入り強力粉と薄力粉の材料の重さ
クルミ入り強力粉と薄力粉の材料の重さ

同様に材料の費用をグラフ化してみた。データラベルの単位は¥(円)である。

クルミ入り強力粉と薄力粉のパン・ド・カンパーニュ材料費
クルミ入り強力粉と薄力粉のパン・ド・カンパーニュ材料費

上の表から明らかなことではあるが,グラフ化してみると,クルミがパンの材料費の半分以上(52 %)を占めている。材料の10 %未満。焼成後の5 %程度なのにである。

また,リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種は種起こしおよび種継ぎに使用した材料(小麦粉とレーズン)のそれぞれの重さから材料費にした。レーズン発酵種はリキッド・ルヴァンよりも,少し,高価な発酵種だと考えることができる。

クルミを入れなければ,このパンは,焼成後の重さ約570 g(ほとんど食パン2斤相当)が,¥103である。

週末に家内は,自宅に戻るので,570 gのパンは,朝食用に月曜日〜金曜日に食べるだけであれば,十分な量である(1日に100 g以上=六枚切り食パン二枚相当)。それが,¥103なのであれば,スーパーで袋入りの食パンを買うよりも安価である。

クルミを少し入れたとしても,1斤¥150〜300の袋入りのスライスされた食パンを買うよりも安い。

私のパン作りは,軽量とドウ作り(生地捏ね)に15分,成形に10分(パン・ド・カンパーニュの場合)しか時間をかけない。オーブンを使っている時間は外出はできないが,他のことはできる(例えば映画を見たり,本を読んだり)。

つまり,週末のちょっとの手間でパンを作ることができる。

コスト計算は世知辛いようであるが,現実を知るためと,自分の作り出している価値を知るためには,必要なことであろう(機械屋としては常識ではあるが)。

検討してみて,面白かった。これも,うつが融けてきたという証である(私のもう一つのブログの記事:「うつ が 融けるのを感じること:散歩の姿勢」)

パン・ド・カンパーニュ 2016年3月5日バージョンの実験〜少ない酵母のくびきについて〜

<1.はじめに>

2016年2月から毎週パン・ド・カンパーニュを作っている。

過去記事

パンを焼く日(その1:2016年2月14日週用のパン)

パンを焼く日(その2:2016年2月21日週用のパン)

パンを焼く日(2016年2月28日週用のパン四種類)

パンを焼く日(2016年3月6日週用のパン五種類)

毎週を同じようなパンを作っていても,少しずつ仕様が異なる。

2016年3月6日週用のパン・ド・カンパーニュにおいては,三つの試みをした。二つは実験。一つは,材料である。

実験の二つは,

(1)リキッド・ルヴァン種を増やすこと

(2)加水率を62 %に下げること

材料については,

・副材料としてクルミを入れることである。

2016年3月6日週用のパン・ド・カンパーニュ(くるみ入り)の材料と焼き上がりは以下の通りだ。

・強力粉 300 g

・薄力粉 100 g

・ライ麦粉 50 g

・食塩 6 g

リキッドルヴァン 63 g  (これまでは,40 g)

・レーズン発酵種 45 g

水 202 g(加水率   62 %相当,これまでは64〜65 %

くるみ 約30 g

パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン
パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン

<2.クルミを入れた理由>
先週,家内の誕生日であった。お祝い気分としてクルミを入れてみた。

<3.二つの実験の動機>

(1)リキッド・ルヴァンを増やしたことについて

パンは一次発酵において,しっかりと発酵させなければ,美味しくならないと,たった半年あまりの経験からであるが,考えている。一方,パン作りの参考にしている以下の図書から,ドウ(パン生地)に加える酵母を,どうしても少なくしたくなっていた。

しかし,これまでのパン作りから,一次発酵が十分ではないと感じていた。発酵時間に17〜20時間をかけてもである。

発酵種を使ったドウの一次発酵がゆっくりであることは,驚くことではない。しかし,十分に時間をかけても発酵が十分ではないのは,家庭という時間にあまり制約を受けない場所であっても,一次発酵以降の工程を設計する上で,少し支障がある。

私の場合には,一週間に食べるパンを一日で一遍に焼く。2016/3/6週用のパンは五種類を焼いた。そういう場合においては,オーブンを効率良く使うことが,「電気代節約」という観点が必要である。そのためには,各ドウをどのような順番として成形・二次発酵に移すかという「工程設計」を必要とする。

つまり,家庭において作るパンであっても,一次発酵の目安時間がわからないと,オーブンを効率良く利用することができない。

一次発酵を進めるためには,i)酵母をドウに多く入れるか,ii)発酵時間を長くするか,iii)発酵温度高めにするという三つの方法が考えられる。

しかし,iii)の方法は発酵は進んでも,発酵種を利用する利点(発酵によってドウ中にアミノ酸などを多くさせるということ)が達成しえない可能性があり,かつ,発光器やオーブンの発酵機能を利用するなどが必要である。

ii)の方法は,十分に選択可能である。しかしながら,成形・二次発酵前に24 hの一次発酵時間を確保しようと考えた場合,土曜日,もしくは,日曜日の午後にパンを焼くのであれば,ドウ作りは,金曜日,もしくは,土曜日の午後早い時間帯に行わなければならない。

現状,私は,療養のため休職しているから時間の自由度は高いが,復職を考慮すれば,金曜日の夕方〜夜にドウを作り,土曜日の午後に焼くというようなことを想定しなければならない。そうなると,ドウを作る時間から,十分な一次発酵時間を確保しつつ,焼成の時間帯までの工程設計を考える必要がある(これを,配合の異なる複数のドウについて,一遍にやる)。

そうなると,これまで,少なめに配合してきた発酵種を増やしてどのなるかについての知見を得ておく必要がある。これが,リキッド・ルヴァンを増やそうと考えた動機である。

志賀勝栄,”酵母から考えるパンづくり”,柴田書店(2007/4)

志賀勝栄,”パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ)”,講談社 (2014/10)

高橋雅子,”少しのイーストでゆっくり発酵パン—こんな方法があったんだ。おいしさ再発見!”,PARCO出版(2007/1)

(2)加水率を65または64 % から62 %に変えたことについて

ドウに加える発酵種を少ない場合においては,一次発酵が進みやすくするため,加水率を高める必要が,酵母の拡散の観点からあると考えている(これだけで,ブログの一記事にしたいと考えている)。加える発酵種を増やせば,ドウの中に拡散する酵母は多くなるなら,発酵を始める場所が増えるため,ドウ中の水を泳いで増える酵母の拡散を期待せずに済む。よって,加水率を下げることができる。バケットでは,クラムの気泡を大きくするために加水率を高める工夫を必要とするが,パン・ド・カンパーニュのクラムの気泡は密であるから,加水率を高めて,気泡を大きくする必要はない。一方,加水率の高いパン・ド・カンパーニュのドウはどうしても緩いため,焼成時に,高さ方向に釜伸びしにくい(焼成後平べったい形になってしまうということ)。

また,私のパンは,主に,コスト的な理由により薄力粉をかなり使う。(過去記事:家で作るパンだってコストにこだわる。だから薄力粉を使う。実績はできた!薄力粉のみのパンの加水率に関する一考察などを参照されたい)。上記のパン・ド・カンパーニュの材料においても,強力粉300 gと薄力粉100 gを配合している。よって,グルテンが形成し難い薄力粉を使うため,加水率をあまり高めたくはない。

これが,加水率を下げてみようとした動機である。

<3.結果の判定について>

一次発酵が従来通り,17時間程度かけても,途中,パンチを必要とせずに発酵し,かつ,焼成後のパンの釜伸びが平べったくなるようなことがなければ実験は成功となると考えることにした。

<4.実験結果>

(1)一次発酵時間について:写真の記録を残していないが,一次発酵約17時間として,発酵が進みすぎて,パンチを必要とすることはなかった。→試験合格。

(2)釜伸びについて:上の写真を再掲する。

パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン
パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン

クープの入れ方に課題があったため,平面的に釜伸びしてしまったが,ドウとして平べったくなるようなことはなかった。加水率 62 %としても,十分に我が家のパン・ド・カンパーニュは作れる。

なお,クープであるが,5本の線を放射線状に入れたのであるが,そのうち,二本がほぼ,直線上になってしまった。そのため,その部分が大きく開くことになってしまったと考えている。加えて,クープをドウ内部深く入れすぎたのであろう。同じ,配合のパンを作る際には,今後課題を解決する必要がある。

(3)クラムの状態:パン焼成後二晩経ったクラムの状態は以下の通りである。パン・ど・カンパーニュを作っているのは,毎日少しずつ切り分けて食べることができるパンなので,我が家の定番としている。室温において保管している(パンの実験:パン・ど・カンパーニュ室温保存はいつまで可能か(12日目:実験終了)を参照されたい)。二晩程度置くと,クラストまで水分が馴染んできて,美味しい。トーストすることは不要だ。

DSCN7751.jpg
二晩経ったパンの切断面
DSCN7752.jpg
スライスしたパン

<5.まとめ>

我が家のリキッド・ルヴァンを使ってパンを作る場合においては,リキッド・ルヴァンの量を粉量450 gに対して,65 g入れても,一次発酵が進みすぎるようなパンにはならなかった。少ない酵母にこだわる必要がなくなったと考えている。

しかし,これは,当然の結果である。我が家のパンではリキッド・ルヴァンを起こしたり・種継ぎに使う小麦粉とドウに使う小麦粉が同じである。つまり,リキッド・ルヴァン中にいる酵母や乳酸菌を,発酵種として増やしておくか,ドウに入れてから増やすかというだけのことである。親子丼は鶏肉を卵和えにして作る。それと似て,私のパンは,種とドウが親子である。どの工程において発酵させようと,同等と考えてよいであろう。

そのように考えれば,一見多めに見えるリキッド・ルヴァンの配合であるが,発酵の進み方を考えれば,多いというわけではないと考えられる。

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酵母の息

私のパンの作り方は,自習である。我流という方が一般的かもしれない。

だいたい,何をするときも,「教わる」ということはなくて,本一冊を基に自習で学ぶというのが私の流儀である。そして,ある時,レクチャーを聴講すると,自習だけでは曖昧であったことの合点が行くということを,ずうっと繰り返している。高校の頃の数学や物理や英語の勉強もそうだったし,就職してから仕事に必要な知識も,ほとんど自習である。

そして,今は,パンを作るのも自習である。そうする理由と背景がないわけではない。私のパン作りは,体調を崩して休職中している療養の一環として始めた。気分障害による体調不良である。放っておくと一日何もせずに過ぎてしまう。そうすると,良いことは考えず,体調は悪い方へ行く。パンを作ろうと思ったのは,パン生地を捏ねるという「単純作業」を夕方にやることで,少しでも,生活のリズムを作ろうと思ったのが,きっかけである。パン作りを習うに行けない状態である。

その気分障害も,だいぶ改善した。睡眠障害は残っているが,気分が落ち込んで,モノゴトを悪い方に考えるようにはならなくなったし,最悪の時期にはできなかった本を読むということもできる。音楽さえ楽しめなかったのであるが,今は,一日中聴いている。時間はかかっているが,体調は良い方法に改善している。

そうやって作っているパンだから,参考にしているレシピ集(志賀勝栄著『酵母から考えるパンづくり』)はあるにしても,それはパン屋さん用のレシピ集であるから,自宅でのパン作りのための雛型にはなっても,材料から焼成までの全ての工程を自分の道具や環境に合わせて調整・工夫をする必要がある。
最も悩ましいのが,一次発酵である。なぜなら,私のパンは発酵する保証がないからだ。

パンを作るためには,材料計量・ドウ作り(生地捏ね),一次発酵,ベンチタイム・成形・二次発酵(クープ入れ)・焼成と各工程を進める。そのうち,人が関われるのは,材料計量・ドウ作り・成形・焼成だけだ。これは,私のパンでは1時間程度しかかからない(過去記事:自分で作って食べるためのパンを考える(その6:所要時間について考える)〜バターロールレシピへの疑問から〜)。発酵は,酵母と環境(主に温度)にお任せするしかない。発酵種だけを使って作るパンでは特にそうだ。

発酵種を使って作るパンの一次発酵は時間がかかる。私の場合は,ドウが発酵したなと,目視によりわかるまで,最短でも12時間を要する。ほとんど,夜間寝ている間に発酵させているから,ずうっと見ているわけではないので,ストレスにはならないが,不安ではある。

しかし,ある時,これが発酵している兆候であろうかと思うようになった。

ドウを発酵させる時に,発酵容器にラップで蓋をした状態にする。そのラップが,時間とともにラップの内側が結露していくのである。

 

DSCN7695
一次発酵開始直後 2016/2/27 15:21

DSCN7698.jpg
一次発酵開始3時間後 2016/2/27 18:21

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一次発酵開始13時間後 2016/2/28 4:13

DSCN7706
一次発酵開始後 16時間半後 2016/2/28 10:00

写真では判別し難いが,時間の経過とともにラップの内側の結露が多くなる。四角形のプラスチック容器にラベルを貼っている。これは,ドウの区別のためでもあるが,発酵が進むと,結露により,カメラのオートフォーカスが機能しなくなるため,フォーカスロックをする部分をマーキングするためでもある。

この結露の理由について,私はわかっていない。二つの理由が考えられると思っていある。

1.ドウの中の水分が蒸発して結露する。

2.ドウが発酵する際に,アルコールが生成されるが,そのアルコールがドウから蒸発してラップの内側に液滴となる。

おそらく,両方であろうと思う。ドウが発酵する過程では二酸化炭素も生成されるが,二酸化炭素は発酵の温度では気体であるし,水にも容易に溶解するため結露するとは考え難い。

私は,このラップの結露を『酵母の息』と呼んでいる。酵母がドウを発酵してくれている証拠だと信じている。

だから,夕方ドウを作って,寝る前に酵母が息をしていたら,安心して朝を待つことができる。

朝方,ドウが目視で十分に発酵していない(膨らんでいない)ことはしばしばある。上の写真であれば,右下のドウは時間が経っても目立って膨らんではいない。

しかし,そんなドウであっても,成形の工程のために,容器からドウを取り出すと発酵していることは,触感でわかる。

そうやって,焼成まで行ったのが下のパンである(過去記事:パンを焼く日(2016年2月28日週のパン四種類))。

 

DSCN7716
2016年2月28日週のパン

パンとは正しく,発酵食品であると捉えている。

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薄力粉のみのパンの加水率に関する一考察

最近,薄力粉だけを使ったパンを作るようになった(過去記事:家で作るパンだってコストにこだわる。だから薄力粉を使う。実績はできた!)。

DSCN7708
薄力粉のパンの焼成結果
薄力粉のプチパン 焼成後 412 g
薄力粉のプチパン 焼成後 412 g

薄力粉だけのパンは極端であるが,私が作っているパンには,薄力粉を入れている。理由は,自宅で食べるパンのコストダウンである。

しかし,根拠なしに薄力粉だけのパンを作っているわけではない。

我流ながら,理屈は持っている。

それは,強力粉を作って作るパンの加水率を,薄力粉のたんぱく質の量に合わせて加水率を調整することである。

小麦粉を買うと袋に栄養成分が記載されている(記載されていないのも稀にある)。

例えば,昭和産業強力粉に場合は以下のようになっている。栄養成分はロットによって変わるようであるから,小麦粉を買うた度に確認する必要がある。下の例では,小麦粉100 gあたり,たんぱく質の量は13.1 gである。すなわち,13.1 % がたんぱく質である。

強力粉の栄養成分表の例(昭和産業強力粉)
強力粉の栄養成分表の例(昭和産業強力粉)

一方,薄力粉はたんぱく質が少ない。下に奥村製粉製薄力粉の栄養成分を示す。たんぱく質が小麦粉100 gあたり8.4 g,すなわち,8.4 %である。

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薄力粉の栄養成分表の例(奥村製粉製薄力)

パン作りにおいて,小麦粉のたんぱく質の量は,パンの骨格であるグルテンの形成に関わる。小麦粉を水を混ぜてドウを作るとき,粘り気を作ってくれるのがグルテンである。グルテンが多いほど,粘り気が強く,パン生地を楽に作ることができる。

しかし,薄力粉はたんぱく質の量が少ないため,強力粉のレシピをそのまま流用しても,ドウに粘り気がでない。お好み焼きの生地のようになってしまう。

最近では,多加水・長時間発酵のパンが人気を集めている。多加水の定義がどのようなものかわからないが,私は,およそ,加水率70 % 以上の場合ではないかと考えている。70%以上の加水率になると,一次発酵後の成形が思うようにできなくなるためだ。

薄力粉のみでパンを作ろうとした場合に,加水率70%は,まず,不可能に近いであろう。生地がドロドロでまとまらない。

では,なぜ,多加水・長時間発酵のパンが人気を得ているのであろうか?それは,低温発酵のパンには,従来の製法のパンよりも多くのアミノ酸などが含まれていることも関係するであろう(当ブログの過去記事:発酵種を使用したパンの美味しさは,どうやら,白身魚の刺身みたいな物らしい〜文献検索から〜)。

しかし,ここで,多加水と長時間発酵は対でなければならないか?という疑問が生じる。

私のたった半年のパン作りの経験だけで,言えば,多加水と長時間発酵は対ではない。コンピュータ用語を用いれば(と,いうかブール代数の用語であるが),ANDではなくORである。

これを実証したのが,薄力粉のパンでもある。

強力粉(一般にたんぱく質が12%以上含まれている小麦粉)の加水率に対して,たんぱく質が少ない分の加水をしてパン生地を作れば,薄力粉でも十分にパンになるのではないかということである。

グラフを示そう。下のグラフは,横軸に小麦粉のたんぱく質が12%のときの加水率を取っている。一方,縦軸は,小麦粉のたんぱく質量が変化したときに,横軸の加水率に相当する加水率である。横軸,および,縦軸とも単位はパーセントである。

たんぱく質12 %の強力粉のパンの加水率と,たんぱく質量が変わったときの加水率調整のグラフ
たんぱく質12 %の強力粉のパンの加水率と,たんぱく質量が変わったときの加水率調整のグラフ

たんぱく質12 %の強力粉を使った加水率70 %のパンに相当する,たんぱく質8 %の薄力粉を使ったパンの加水率を46%にすれば良いということを示すグラフである。

もし,強力粉と薄力粉を混ぜて70%のパンを作れるのであれば(実際,私は,やっているが),薄力粉のみのパンの加水率をもっと高めることができる。

薄力粉のみのパンは,発酵しないのではないかと思われる人もいるかも知れないが,パン生地の発酵において,小麦粉のたんぱく質の量は直接は関係しない。なぜなら,酵母によるパン生地の発酵は,でんぷん(小麦粉の栄養成分表の炭水化物)の加水分解であるかである。

酵母はでんぷんをグルコース(ブドウ糖)に分解して,さらに,以下の化学反応を進める。

C6H12O6→2C2H5-OH + 2CO2

<グルコース>→<エタノール> + <二酸化炭素>

パン生地の発酵に関係するのは,主に炭水化物である。たんぱく質の量はほとんど関係ないはずである。

では,なぜ,パンに強力粉が用いられるか?
それを書き出すと,この記事が長くなってしまうので,またの機会にする。

一つだけ言っておかなければならないのは,たんぱく質の少ない薄力粉を水でこねたときにできるグルテンの量が強力粉を使った場合よりも少ない。グルテンは生地の中で風船のような小部屋を作り,中に,小麦粉と水と酵母を入れる。グルテンの少ない薄力粉の場合には,グルテンの小部屋に含有できる水の量が少ない。よって,加水率を下げれば,生地はできる。そして,長時間発酵させれば,十分に美味しいパンになる。

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