レーズン発酵種の『シュワッー』

レーズン発酵種を起こしたり,継いだりしていると,発酵が完了するより,半日とか一日前の方が,ガラス瓶から発酵による二酸化炭素やアルコールが勢いよく吹き出てくる。

これまで,そのタイミングを動画にしようと思わなかった。それは,種を起こしたり,継ぐのが月に1回か2回であったからである。

しかし,最近の私のパン作りでは,ほぼ,毎週レーズン発酵種の種継ぎを行うので,タイミングを見つけることが容易になった。

動画は,レーズン発酵種を絞る半日前の状態である。

仕込んだのは,2016/4/20の夕方。動画の撮影は,2016/4/22の朝である(9:00頃)。

パンを焼く日(2016年4月17日週のパン5種類)

パン5種類を焼いた。

焼成順に,

1.リキッド・ルヴァンの無塩プチパン

2.レーズン発酵種の無塩プチパン

3.リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種のベーグルもどき(おやつ用に初めて作ってみた=思いつき)

4.薄力粉と強力粉のパン・ド・カンパーニュ(リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種)

5.パン・ド・カンパーニュ(リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種)

1.リキッド・ルヴァンの無塩プチパン

リキッド・ルヴァンの無塩プチパン
リキッド・ルヴァンの無塩プチパン

2.レーズン発酵種の無塩プチパン

レーズン発酵種の無塩プチパン
レーズン発酵種の無塩プチパン

3.リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種のベーグルもどき

リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種のベーグルもどき
リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種のベーグルもどき

4.薄力粉と強力粉のパン・ド・カンパーニュ

薄力粉と強力粉のパン・ド・カンパーニュ
薄力粉と強力粉のパン・ド・カンパーニュ

5.パン・ド・カンパーニュ

パン・ド・カンパーニュ
パン・ド・カンパーニュ

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ガラス瓶で継いだ「レーズン発酵種」搾り前蓋をあけた時の『音』

このブログにおいて,レーズン発酵種については何度も記事にしている。過去生地は,下に列挙した。

しかし,今までブログ記事にできなかったことがある。

ガラス瓶を使用して種継ぎしたレーズン発酵種において,ガラス瓶の蓋をあける際の『音』である。

音を記録するのは二つの点で難しい。

(1)レーズン発酵種を入れたガラス瓶の蓋をあける際の音は,時事刻々と変化する。もっともドラマティックなのは,発酵終了間際に蓋をあけるときに「シュワッー」と泡が瓶から溢れ出すときである。しかし,そのタイミングを,私は,未だ発酵中として捉えている(pH計を持っていないせいである)。そこから,半日から1日さらに発酵を継続させている。

(2)音を録音するのはさほど難しくはないが,それでは,何の音かわからないので,「動画」を撮影することになる。発酵種を作ったり・継ぐ作業はひとり作業だから,静止画はどうにか撮影しても,動画は撮影しにくい。三脚を使えばどうにかなるが,個人的な都合で,三脚をしばらく使えなかった。

いろいろな課題があって,音を録音できずにいたのであるが,最近は,毎週,レーズン発酵種を継いでいるので,『音』を録る機会は豊富である。それで,試してみた。

以下の動画が,蓋をあけた時の『音』である。ファイルサイズは,3.5MBである。それほど,大きなデータではないと思う。

もっと威勢のよい音がするときもあるのであるが,今週の種はこんなであった。多分,この種でもパンは,十分に作れるはずである。

※レーズン発酵種に関する過去記事

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み二日目

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み三日目

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み四日目

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み五日目

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み六日目(発酵終了)

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み六日目(最終工程の絞り)

パン作り用 レーズン発酵種の仕込み(パン生地発酵具合の確認)

パン作り用レーズン発酵種の種継ぎ

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なぜか?美味しく感じない,間に合わせで作ったレーズンパン(発酵は十分であったけども)

今朝(2016年4月10日)朝食用のパンがないので,4月9日に忙しなくパンを作った。

材料は,まぁ,少しドライイーストが多いが,リーンなパンである。

レーズンパンの材料
レーズンパンの材料

グラフを作ったから載せておく。

パンの材料の重さグラフ
パンの材料の重さグラフ
パンの材料費のグラフ
パンの材料費のグラフ

一次発酵が3時間。2次発酵は2.5時間。まぁ,ドライイーストを入れたから,十分発酵だけはした。

焼き上がりも悪くはない。

レーズンパンの焼き上がり
レーズンパンの焼き上がり

クラムの悪くはないと,思う。

レーズンパンのクラム
レーズンパンのクラム
クラムの接写
クラムの接写

※しかし,朝食に食したら,不味くはないが「美味しくない」。味がないというべきかもしれない。

半年間,発酵種だけの長時間発酵を食べ続けたせいか,「パンに旨味」を求めてしまう。だから,膨らんだだけのパンは「味気ない」。

リキッド・ルヴァンやレーズン発酵種のパンには旨味がある。それを,再認識したのである。

パンを焼く日(2016年4月10日週のパン3種類)

2016年4月10日週のパン3種類。

焼成順に

1.リキッド・ルヴァンの無塩プチパン 加水率56%

2.レーズン発酵種の無塩プチパン 加水率56%

3.パン・ド・カンパーニュ(リキッド・ルヴァン+レーズン発酵種) 加水率54%

プチパンの二次発酵は布取り
プチパンの二次発酵は布取り
パン・ド・カンパーニュ1次発酵は結構膨れた
パン・ド・カンパーニュ1次発酵は結構膨れた
パン・ド・カンパーニュに次発酵はφ20cmの籠で
パン・ド・カンパーニュに次発酵はφ20cmの籠で
リキッド・ルヴァンの無塩プチパン焼成直後
リキッド・ルヴァンの無塩プチパン焼成直後
リキッド・ルヴァンの無塩プチパンの重さ全部で580 g(粉量は400 g)
リキッド・ルヴァンの無塩プチパンの重さ全部で580 g(粉量は400 g)
レーズン発酵種の無塩プチパン焼成直後
レーズン発酵種の無塩プチパン焼成直後
レーズン発酵種の無塩プチパン全部の重さは560 g(粉量 400 g)
レーズン発酵種の無塩プチパン全部の重さは560 g(粉量 400 g)
パン・ド・カンパーニュ焼成直後
パン・ド・カンパーニュ焼成直後

 

パン・ド・カンパーニュの重さは830 g(粉量550 g)
パン・ド・カンパーニュの重さは830 g(粉量550 g)

これで,一週間二人で足りるかどうか。。。。。

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パン作りにおける食塩の計量について

パン作りは,すべての工程にトラップ(罠)が潜んでいる。

パンは発酵食品であるから,その初めの工程である「計量」を失敗すると,以降の工程すべて台無しなる。

一方,ドウ(パン生地)の発酵は酵母であろうが乳酸菌であろうが,化学反応であるので,粉量を増やしたり・減らしたりしたら,全ての材料を粉量に合わせて比例させて増減すれば良い。ただし,粉量に合わせて,発酵時間の調整は必要となるが。

さて,食塩の量も粉量に合わせて増減させれば良いのであるが,一般に,食塩の量(重さ)は,粉量(重さ)の2%前後とされる。

志賀勝栄さんの「酵母から考えるパンづくり」によれば,バケットとパン・ド・カンパーニュの場合に2.1%となっている(それぞれ,42頁,156頁)。志賀さんの本は,粉量が2kgとかのパン屋さん向けのレシピになっているから,家庭において,それらのレシピを参考に材料の量を調整しなければならない。

その際,面倒なのが,食塩の量である。

食塩の量はパンの味を左右する。そして,面倒なことに,「人の感覚」というのは,直線的ではなく,「対数的」である。

騒音や振動の大きさは,一般にデシベル(dB)という単位が用いられる。2倍=+6dB,10倍=20dBといった具合である。一方,0.5倍=−6dB,1/10=−20dBといった具合である。これは,人の聴覚や触覚がでジベルの方が表しやすいためである。一般に,静かな図書館は60dB以下の騒音レベルとされる。一方,100dBを超える騒音レベルでは,人は,苦痛に感じる。

デシベルは,対数を使った単位であるのだが,どうも,これが,人の感覚に合っている。高校で習う対数を社会でどこに使うのかというと,こんなところで使われている。勉強は無駄になることはない。

さて,発酵は,材料の比例で良いと上に記したが,「味覚」は「聴覚」や「触覚」と同様におそらく「対数的」である。特に,日本人は,微量な「旨味(=アミノ酸の味)」を感知する。

リーンなパンは酵母や乳酸菌発酵によってドウにアミノ酸などが多く含まれるから,食塩によってその味を消し去りたくはない。

2kgの粉量の2.1%の食塩は,42gであるが,250gの粉量では,5.25gとなる。これを,表に示すと表1のようになる。2%の食塩量は,1g刻みで変化するが,1.5%ともなると,0.1g刻みで計量が必要となる。

表1 粉量に対する食塩量
表1 粉量に対する食塩量

表1をグラフにしてみる。まずは,一般的なグラフ(図1)にする(リニアスケール)。

図1 粉量に対する食塩量
図1 粉量に対する食塩量

図1において,2%±0.2gのプロットも示したが,わかりにくい。そこで,図1の縦軸を対数にしてみる。つまり,片対数グラフである(図2)。

図2 粉量に対する食塩量(縦軸対数)
図2 粉量に対する食塩量(縦軸対数)

さらに,食塩量2%の場合のみを拡大してみる(図3)。

図3 粉量に対する食塩量2%の場合
図3 粉量に対する食塩量2%の場合

図3から食塩量±0.2gの差は,粉量が多いほど影響しそうなことが推察できる。

さらに,表1の粉量と食塩量の比を以下のようにデシベル(dB)により示してみることにする。

[(食塩量)/ (粉量)] (dB) = 20log×[(食塩量)/ (粉量)]

すると,表2のようになり,グラフにすると図4のようになる。

表2 粉量に対する食塩量の比
表2 粉量に対する食塩量の比
図4 粉量と食塩量の比(縦軸デシベル)
図4 粉量と食塩量の比(縦軸デシベル)

図1と図4は同じ関係なのであるが,粉量と食塩量の比を取って,デシベル表記した違いのみである。図4の食塩量2%の場合を拡大してみる(図5)。

図5 粉量と食塩量の比(2%付近縦軸拡大)
図5 粉量と食塩量の比(2%付近縦軸拡大)

図5は図3に対応する。図5の±0.2gを±1gにしてみたのが,図6である。

図6 粉量と食塩量の比(2%付近拡大および±1g)
図6 粉量と食塩量の比(2%付近拡大および±1g)

食塩量の計量のばらつきが粉量が少なくなると,その影響が大きくなることが図5と図6からわかる。

ところで,一般的なクッキングスケールは秤量が1gであったり,2gであったりする。Amazonでクッキングスケールを検索してみると,下のタニタのクッキングスケールが一番最初に出てきた。

図7 タニタ デジタルクッキングスケール 1kg ホワイト KD-187-WH(Amazon¥1,098:2016/3/30現在)

上記のクッキングスケールの秤量(分解能)は1gである。よって,図7のクッキングスケールを用いて粉量250gのドウを作ろうとすると,図5より図6に近い食塩量のばらつきになる(実際には,秤量1gなので,250gの粉量に対して,食塩量は5±0.5gとなる。)

そのため,クッキングスケールを少しだけ高価なものにする。すると,秤量0.1gのモノがある。

図8 タニタ デジタルクッキングスケール 3kg(0.1g単位/300gまで) ホワイト KD-320-WH(Amazon ¥1,885: 2016/4/30現在

新しくクッキングスケールを購入する場合は,高価と言っても少しの差であるから,図8のように秤量0.1gのモノを入手すべきである。

しかし,すでに,クッキングスケールを持っていて,それが,1g秤量の場合に,買い直すのはもったいない。私がそうであった。

そう考えて,近所のホームセンター(ケーヨーD2)において以下のクッキングスケールを見つけて,使っている。

図9 DRETEC 【容器を使わず手軽にはかれる】 スプーンスケール ホワイト PS-031NWT
図9 DRETEC 【容器を使わず手軽にはかれる】 スプーンスケール ホワイト PS-031NWT

図9のDRETEC PS-031を使うと,以下のような計量ができる。ただし,このクッキングスケールの秤量は0.2gであるため,以下の計量は0.1±0.2gの正しさである(まぁ,これは,細かい専門的なことではあるが)。

図10 食塩0.1gの計量の例
図10 食塩0.1gの計量の例

このクッキングスケールはドライイーストを計量する場合にも利用価値がある。

 

図11 ドライイースト0.1g計量の例
図11 ドライイースト0.1g計量の例

ケーヨーD2で幾らで買ったのか,失念したが,Amazonでは¥1,620(2016/3/30現在)である。もう少し,安価に買ったような気がする。

DRETEC 【容器を使わず手軽にはかれる】 スプーンスケール ホワイト PS-031NWT(Amazonでは¥1,620: 2016/30現在)

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無塩プチパンは「日持ちする『おにぎり』」のようなパンである。

トスカーナ料理店(川越市 estestest)のご主人に「無塩パン」を教えていただいてから,ほぼ,毎週のように作っている。

トスカーナはフィレンツェ観光しただけなので,本場の無塩パンを食したことはないが,なんとなく自己流で作っている。

estestestのご主人のお話では,「トスカーナ料理」は塩辛いものが多いので,パンの味を控えめにするのであるということであった。

一方,志賀勝栄さんの著書「パンの世界」においては,塩は「発酵を抑制する」と記されている(179頁)。

さて,無塩プチパンは便利なパンである。どう便利かというと,簡単に済ませたい昼食に便利なのである。主に,汁物と合わせる。

無塩プチパンとシチューの残り
無塩プチパンとシチューの残り
無塩プチパンは汁に浸す。まずい汁かどうか判別できる。
無塩プチパンは汁に浸す。まずい汁かどうか判別できる。
面倒な時はレトルトカレーと組み合わせる
面倒な時はレトルトカレーと組み合わせる
スパゲティの場合は少し,ソースの水分を多めにする
スパゲティの場合は少し,ソースの水分を多めにする

無塩プチパンはとても安いパンである。2016年3月27日バージョンの無塩プチパンのコストは1個あたり¥14である。

無塩プチパンの重さとコスト(2016年3月27日バージョン)
無塩プチパンの重さとコスト(2016年3月27日バージョン)
無塩プチパン焼成後の重さ(8個分)
無塩プチパン焼成後の重さ(8個分)

そして,パンは「発酵食品」であるから「保存し易い」食品である。スーパーで買う食パンは二日も経つと干からびて青カビが生える。しかし,リーンなパンは一週間やそこらは室温で保管できる。だから,私のパンは冷凍しない。

そして,食べたいときに,そのまま食べる。いつでも食べることができる「おにぎり」のようにである。

無塩プチパンは日持ちするおにぎりのようなパンなのである。そして,「安い!」

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パンを焼く日(2016年3月27日のパン三種類)

2016年3月27日のパン三種類。

無塩プチパンとパン・ド・カンパーニュ二種類(ライ麦粉有無違い)。

今日は,粉量は少なくて,1.45 kg。

無塩プチパンはリキッド・ルヴァンのみで発酵させる。

2016年3月27日のパン三種類
2016年3月27日のパン三種類

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オヤツ用としての薄力粉レーズンプチパン(2016年3月20日バージョン)詳細仕様

1.材料

薄力粉のレーズンプチパンはオヤツ用なので加糖した。よって,このパンはリーンなパンではない!!

薄力粉のレーズンプチパン材料
薄力粉のレーズンプチパン材料

加水率は53%相当である。これだけ加水すると,ドウはかなり柔らかい。成形のときの伸びも良い。

薄力粉のレーズンプチパン重さの割合
薄力粉のレーズンプチパン重さの割合
薄力粉のレーズンプチパンコスト割合
薄力粉のレーズンプチパンコスト割合

コスト割合のグラフを見るとレーズン発酵種とレーズンの合わせた値段が¥79となり,粉の値段¥63を上回る。すなわち,オヤツ用のパンは割高であるということである。食事用のパンであれば,もっと安くなる。グラニュー糖も決して安くはない。

また,粉量400gを8個のプチパンに成形したので,プチパン1個あたりとして¥19となる(端数切り上げ)。

2.工程表(実績)

レーズンプチパン工程表
レーズンプチパン工程表

赤矢印が作業工程である。合計で60分となる。成形の中にベンチタイム15分を含む。

3.焼成結果(焼成温度 200°C)

レーズンパン2016年3月20日バージョン
レーズンパン2016年3月20日バージョン
レーズンパン焼成後600g
レーズンパン焼成後600g
レーズンプチパンの裏面
レーズンプチパンの裏面

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日本人は何を食べさられているのか? 〜小麦編その1:小麦の値段〜

私のパン以外のブログに「日本人は何を食べされらているのか?」という記事が三つある。

・ブログ過去記事:『日本人は何を食べさられているのか?

・ブログ過去記事:『日本人は何を食べさられているのか?その2(塩豚のソテーから考える)

・ブログ過去記事:『日本人は何を食べさられているのか?その3(イチゴジャムを作ってみて)

このPane neroというのはパンのことしか書かないブログであるが,パンに関わることなら何でも書く。

よって,小麦のことは,重要な関心事なので,日本人が食べている小麦のことは,こちらのブログに書く。

日本人が食べている小麦は多面的に考えないとならない。しかし,どのような小麦を食べているのかということは知っていて良い。だから,何回かに分けて書く。一回で書けないほど,複雑のなのである。

資料は農林水産省が公開している「麦の需給に関する見通し(平成27年3月)」を基にする(URL:  http://www.maff.go.jp/j/seisan/boueki/mugi_zyukyuu/pdf/27_mitoosi.pdf )。

この資料は,麦に関する様々なことを教えてくれる。しかし,官庁の資料の特徴として理解し難いように記載されている。また,肝心なことは,明記されていない。そのため,いわゆる行間を読むという作業が必要になる。

この記事においては,輸入小麦の値段構成について考える。上記の資料を基に,小麦の政府売り渡し価格について考えると以下のような推定ができる。

表1 小麦の政府売り渡し価格値段構成推定(平成27年4月分)
表1 小麦の政府売り渡し価格値段構成推定(平成27年4月分)

上記農水省の資料の時点における小麦国際価格は約4.8 $/ プッシェルである。1トン当たりに直すと$220となる。これに,海上輸送費,為替,港湾諸経費が関係する。一方,平成27年4月の小麦政府売り渡し価格平均値は¥60,070である。

上記の農水省資料に用語が示されているが,小麦政府売り渡し価格にはマークアップと呼ばれる輸入差益が上乗せされている。その金額は,資料には明記されていない。よって,マークアップの金額は推定するしかない。

小麦輸入価格は,¥31,222と見積もれる。それに,港湾諸経費として15%を上乗せした。すると,¥35,905となる。この金額と政府売り渡し価格の差額がマークアップの額となる。推定すると,¥24,165となる。これは,政府小麦政府売り渡し価格の40%の相当する。

図1 小麦1トン当たりの政府売渡価格の構成(推定)
図1 小麦1トン当たりの政府売渡価格の構成(推定)

マークアップなるお金が,国内小麦栽培に利用されているであろうから,そのもの自体を批判するつもりはない。

ただし,以下の点において批判する。

1.マークアップは税金ではないということ:マークアップは,農水省が決めるものであって,財務省が決める税金ではない。しかし,国に入る差益なのであるから,「実質的には税金」と考えるべきである。つまり,パンを作る・食べるということは,国に「税金みたいなモノ」を納めていることになる。

2.マークアップにも消費税が課税されるということ:マークアップにも消費税が課税される。まるで,ガソリンの揮発油税に消費税が課税される二重課税と似た構造である。

このことは,小麦粉1 kgの値段として見てみたほうがわかり易い。

農水省の資料「輸入小麦の政府売渡価格について(価格公表添付資料)」(平成28年3月:URL http://www.maff.go.jp/j/press/seisaku_tokatu/boeki/pdf/160309-02.pdf)には,小麦粉の減価率が記載されていて,その値は27%である。その値を用いると小麦粉1 kgの値段構成を以下のグラフのように見積もることができる。

図2 輸入小麦粉1 kgの値段構成推定
図2 輸入小麦粉1 kgの値段構成推定

輸入小麦粉1 kgあたり,国には「マークアップが¥24.16」と「消費税¥17.8」が入ることになっている。合わせると¥41.96円である。小麦粉1 kgあたり税込価格の17.46%である。

食糧争奪―日本の食が世界から取り残される日』という実に「つまらない本」がある。しかし,何らか得るところはあって,この本の41頁に世界の主要穀物の輸出国と輸入国の表が掲載されている。

食糧争奪―日本の食が世界から取り残される日

小麦だけに関して言えば,輸出国トップ4は「米国,カナダ,EU25,オーストラリア」である。一方,輸入国トップ4は「ブラジル,エジプト,日本,アルジェリア・インドネシア」(2007年度)である(アルジェリアとインドネシアは同量)。日本に輸入されている小麦は,農水省資料によると米国産,カナダ産,オーストラリア産である。

相当昔。古代ローマ時代,エジプトは小麦の一大輸出地域であった。「パンとサーカス」として有名な古代ローマのパンはエジプトから輸入された小麦である。

そのエジプトが大量に小麦を輸入しているということに驚く。しかし,日本のように高価な小麦の値段としては販売されてはいないであろう。古代のピラミッドの頃からパンを食べてきたエジプトにおいて,「小麦税」なるものを課税したら,政変が起きるに違いない。

なお,古代ローマにおける「パンとサーカス」の「パン」とは,社会的弱者となったローマ市民に無料で小麦粉を配った(それなりに収入にある人には有料)ことを言う。つまり,当時の社会保障政策である。

「貧乏人は麦を食え」といった総理大臣も戦後いたが,今や,麦を食べるということは,とても高級なことになってしまった。

日本人は,いったい,食べるために,何のお金を払っているのであろうか?


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