パン作りにおける食塩の計量について

パン作りは,すべての工程にトラップ(罠)が潜んでいる。

パンは発酵食品であるから,その初めの工程である「計量」を失敗すると,以降の工程すべて台無しなる。

一方,ドウ(パン生地)の発酵は酵母であろうが乳酸菌であろうが,化学反応であるので,粉量を増やしたり・減らしたりしたら,全ての材料を粉量に合わせて比例させて増減すれば良い。ただし,粉量に合わせて,発酵時間の調整は必要となるが。

さて,食塩の量も粉量に合わせて増減させれば良いのであるが,一般に,食塩の量(重さ)は,粉量(重さ)の2%前後とされる。

志賀勝栄さんの「酵母から考えるパンづくり」によれば,バケットとパン・ド・カンパーニュの場合に2.1%となっている(それぞれ,42頁,156頁)。志賀さんの本は,粉量が2kgとかのパン屋さん向けのレシピになっているから,家庭において,それらのレシピを参考に材料の量を調整しなければならない。

その際,面倒なのが,食塩の量である。

食塩の量はパンの味を左右する。そして,面倒なことに,「人の感覚」というのは,直線的ではなく,「対数的」である。

騒音や振動の大きさは,一般にデシベル(dB)という単位が用いられる。2倍=+6dB,10倍=20dBといった具合である。一方,0.5倍=−6dB,1/10=−20dBといった具合である。これは,人の聴覚や触覚がでジベルの方が表しやすいためである。一般に,静かな図書館は60dB以下の騒音レベルとされる。一方,100dBを超える騒音レベルでは,人は,苦痛に感じる。

デシベルは,対数を使った単位であるのだが,どうも,これが,人の感覚に合っている。高校で習う対数を社会でどこに使うのかというと,こんなところで使われている。勉強は無駄になることはない。

さて,発酵は,材料の比例で良いと上に記したが,「味覚」は「聴覚」や「触覚」と同様におそらく「対数的」である。特に,日本人は,微量な「旨味(=アミノ酸の味)」を感知する。

リーンなパンは酵母や乳酸菌発酵によってドウにアミノ酸などが多く含まれるから,食塩によってその味を消し去りたくはない。

2kgの粉量の2.1%の食塩は,42gであるが,250gの粉量では,5.25gとなる。これを,表に示すと表1のようになる。2%の食塩量は,1g刻みで変化するが,1.5%ともなると,0.1g刻みで計量が必要となる。

表1 粉量に対する食塩量
表1 粉量に対する食塩量

表1をグラフにしてみる。まずは,一般的なグラフ(図1)にする(リニアスケール)。

図1 粉量に対する食塩量
図1 粉量に対する食塩量

図1において,2%±0.2gのプロットも示したが,わかりにくい。そこで,図1の縦軸を対数にしてみる。つまり,片対数グラフである(図2)。

図2 粉量に対する食塩量(縦軸対数)
図2 粉量に対する食塩量(縦軸対数)

さらに,食塩量2%の場合のみを拡大してみる(図3)。

図3 粉量に対する食塩量2%の場合
図3 粉量に対する食塩量2%の場合

図3から食塩量±0.2gの差は,粉量が多いほど影響しそうなことが推察できる。

さらに,表1の粉量と食塩量の比を以下のようにデシベル(dB)により示してみることにする。

[(食塩量)/ (粉量)] (dB) = 20log×[(食塩量)/ (粉量)]

すると,表2のようになり,グラフにすると図4のようになる。

表2 粉量に対する食塩量の比
表2 粉量に対する食塩量の比
図4 粉量と食塩量の比(縦軸デシベル)
図4 粉量と食塩量の比(縦軸デシベル)

図1と図4は同じ関係なのであるが,粉量と食塩量の比を取って,デシベル表記した違いのみである。図4の食塩量2%の場合を拡大してみる(図5)。

図5 粉量と食塩量の比(2%付近縦軸拡大)
図5 粉量と食塩量の比(2%付近縦軸拡大)

図5は図3に対応する。図5の±0.2gを±1gにしてみたのが,図6である。

図6 粉量と食塩量の比(2%付近拡大および±1g)
図6 粉量と食塩量の比(2%付近拡大および±1g)

食塩量の計量のばらつきが粉量が少なくなると,その影響が大きくなることが図5と図6からわかる。

ところで,一般的なクッキングスケールは秤量が1gであったり,2gであったりする。Amazonでクッキングスケールを検索してみると,下のタニタのクッキングスケールが一番最初に出てきた。

図7 タニタ デジタルクッキングスケール 1kg ホワイト KD-187-WH(Amazon¥1,098:2016/3/30現在)

上記のクッキングスケールの秤量(分解能)は1gである。よって,図7のクッキングスケールを用いて粉量250gのドウを作ろうとすると,図5より図6に近い食塩量のばらつきになる(実際には,秤量1gなので,250gの粉量に対して,食塩量は5±0.5gとなる。)

そのため,クッキングスケールを少しだけ高価なものにする。すると,秤量0.1gのモノがある。

図8 タニタ デジタルクッキングスケール 3kg(0.1g単位/300gまで) ホワイト KD-320-WH(Amazon ¥1,885: 2016/4/30現在

新しくクッキングスケールを購入する場合は,高価と言っても少しの差であるから,図8のように秤量0.1gのモノを入手すべきである。

しかし,すでに,クッキングスケールを持っていて,それが,1g秤量の場合に,買い直すのはもったいない。私がそうであった。

そう考えて,近所のホームセンター(ケーヨーD2)において以下のクッキングスケールを見つけて,使っている。

図9 DRETEC 【容器を使わず手軽にはかれる】 スプーンスケール ホワイト PS-031NWT
図9 DRETEC 【容器を使わず手軽にはかれる】 スプーンスケール ホワイト PS-031NWT

図9のDRETEC PS-031を使うと,以下のような計量ができる。ただし,このクッキングスケールの秤量は0.2gであるため,以下の計量は0.1±0.2gの正しさである(まぁ,これは,細かい専門的なことではあるが)。

図10 食塩0.1gの計量の例
図10 食塩0.1gの計量の例

このクッキングスケールはドライイーストを計量する場合にも利用価値がある。

 

図11 ドライイースト0.1g計量の例
図11 ドライイースト0.1g計量の例

ケーヨーD2で幾らで買ったのか,失念したが,Amazonでは¥1,620(2016/3/30現在)である。もう少し,安価に買ったような気がする。

DRETEC 【容器を使わず手軽にはかれる】 スプーンスケール ホワイト PS-031NWT(Amazonでは¥1,620: 2016/30現在)

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