日本人は何を食べさられているのか? 〜小麦編その1:小麦の値段〜

私のパン以外のブログに「日本人は何を食べされらているのか?」という記事が三つある。

・ブログ過去記事:『日本人は何を食べさられているのか?

・ブログ過去記事:『日本人は何を食べさられているのか?その2(塩豚のソテーから考える)

・ブログ過去記事:『日本人は何を食べさられているのか?その3(イチゴジャムを作ってみて)

このPane neroというのはパンのことしか書かないブログであるが,パンに関わることなら何でも書く。

よって,小麦のことは,重要な関心事なので,日本人が食べている小麦のことは,こちらのブログに書く。

日本人が食べている小麦は多面的に考えないとならない。しかし,どのような小麦を食べているのかということは知っていて良い。だから,何回かに分けて書く。一回で書けないほど,複雑のなのである。

資料は農林水産省が公開している「麦の需給に関する見通し(平成27年3月)」を基にする(URL:  http://www.maff.go.jp/j/seisan/boueki/mugi_zyukyuu/pdf/27_mitoosi.pdf )。

この資料は,麦に関する様々なことを教えてくれる。しかし,官庁の資料の特徴として理解し難いように記載されている。また,肝心なことは,明記されていない。そのため,いわゆる行間を読むという作業が必要になる。

この記事においては,輸入小麦の値段構成について考える。上記の資料を基に,小麦の政府売り渡し価格について考えると以下のような推定ができる。

表1 小麦の政府売り渡し価格値段構成推定(平成27年4月分)
表1 小麦の政府売り渡し価格値段構成推定(平成27年4月分)

上記農水省の資料の時点における小麦国際価格は約4.8 $/ プッシェルである。1トン当たりに直すと$220となる。これに,海上輸送費,為替,港湾諸経費が関係する。一方,平成27年4月の小麦政府売り渡し価格平均値は¥60,070である。

上記の農水省資料に用語が示されているが,小麦政府売り渡し価格にはマークアップと呼ばれる輸入差益が上乗せされている。その金額は,資料には明記されていない。よって,マークアップの金額は推定するしかない。

小麦輸入価格は,¥31,222と見積もれる。それに,港湾諸経費として15%を上乗せした。すると,¥35,905となる。この金額と政府売り渡し価格の差額がマークアップの額となる。推定すると,¥24,165となる。これは,政府小麦政府売り渡し価格の40%の相当する。

図1 小麦1トン当たりの政府売渡価格の構成(推定)
図1 小麦1トン当たりの政府売渡価格の構成(推定)

マークアップなるお金が,国内小麦栽培に利用されているであろうから,そのもの自体を批判するつもりはない。

ただし,以下の点において批判する。

1.マークアップは税金ではないということ:マークアップは,農水省が決めるものであって,財務省が決める税金ではない。しかし,国に入る差益なのであるから,「実質的には税金」と考えるべきである。つまり,パンを作る・食べるということは,国に「税金みたいなモノ」を納めていることになる。

2.マークアップにも消費税が課税されるということ:マークアップにも消費税が課税される。まるで,ガソリンの揮発油税に消費税が課税される二重課税と似た構造である。

このことは,小麦粉1 kgの値段として見てみたほうがわかり易い。

農水省の資料「輸入小麦の政府売渡価格について(価格公表添付資料)」(平成28年3月:URL http://www.maff.go.jp/j/press/seisaku_tokatu/boeki/pdf/160309-02.pdf)には,小麦粉の減価率が記載されていて,その値は27%である。その値を用いると小麦粉1 kgの値段構成を以下のグラフのように見積もることができる。

図2 輸入小麦粉1 kgの値段構成推定
図2 輸入小麦粉1 kgの値段構成推定

輸入小麦粉1 kgあたり,国には「マークアップが¥24.16」と「消費税¥17.8」が入ることになっている。合わせると¥41.96円である。小麦粉1 kgあたり税込価格の17.46%である。

食糧争奪―日本の食が世界から取り残される日』という実に「つまらない本」がある。しかし,何らか得るところはあって,この本の41頁に世界の主要穀物の輸出国と輸入国の表が掲載されている。

食糧争奪―日本の食が世界から取り残される日

小麦だけに関して言えば,輸出国トップ4は「米国,カナダ,EU25,オーストラリア」である。一方,輸入国トップ4は「ブラジル,エジプト,日本,アルジェリア・インドネシア」(2007年度)である(アルジェリアとインドネシアは同量)。日本に輸入されている小麦は,農水省資料によると米国産,カナダ産,オーストラリア産である。

相当昔。古代ローマ時代,エジプトは小麦の一大輸出地域であった。「パンとサーカス」として有名な古代ローマのパンはエジプトから輸入された小麦である。

そのエジプトが大量に小麦を輸入しているということに驚く。しかし,日本のように高価な小麦の値段としては販売されてはいないであろう。古代のピラミッドの頃からパンを食べてきたエジプトにおいて,「小麦税」なるものを課税したら,政変が起きるに違いない。

なお,古代ローマにおける「パンとサーカス」の「パン」とは,社会的弱者となったローマ市民に無料で小麦粉を配った(それなりに収入にある人には有料)ことを言う。つまり,当時の社会保障政策である。

「貧乏人は麦を食え」といった総理大臣も戦後いたが,今や,麦を食べるということは,とても高級なことになってしまった。

日本人は,いったい,食べるために,何のお金を払っているのであろうか?


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