日本の小麦は約9割が輸入であり,そのほとんど全てを政府が買い付け,製粉会社などに売っている。
これは,かつては食管法というものに基づいていたが,平成6年より,「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」に基づいている。
小麦の値段については,平成20年〜平成21年(2008〜2009年)にかけて暴騰し,以下のような本が出版されている。
しかし,実際には,平成22年度以降,小麦価格は安定し,暴騰すること起きていない。さらに,2016年4月からは,政府売り渡し小麦価格が7.1%値下げされることになっている(本ブログ過去記事:政府売り渡し小麦7.1%値下げ見込み〜やった!パンを安く作れる〜)。
本件については,所管官庁である農林水産庁より,プレスリリースがされている。(URL: http://www.maff.go.jp/j/press/seisaku_tokatu/boeki/160309.html )
しかし,農水省の試算においては,小麦売り渡し価格を7.1%下げても,消費者物価指数(CPI)への影響は▲0.006%程度にとどまるとなっている。
加えて,食パンの値段は,1斤(400g)172円が0.9円しか値下がりしないであろと予測している。
上記の農水省のURLに行って,PDF資料を探して読むと,そう書いてある。
小麦の値段を安くすることのCPIへの影響を憂慮しているのは,もちろん「アベノミクス」への配慮からであろう。
農水省の資料は,食パンというものについて多くのことを教えてくれる。いかに,雑記として,幾つかの計算を示す。
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<食パンの値段とは?>
・食パン1斤(400g)の農水省価格 P1
・農水省が示す食パン1斤あたりの小麦代金(殻付き)の割合R1
・食パン1斤(400g)に占める小麦のコストC1の見積もり。
・2015年10月政府輸入小麦売り渡し平均価格(殻付)P2。
・食パン1斤に含まれる小麦(殻付)の推定重さW1。
・農水省資料から推定する製粉割合R2。
この計算は,説明が必要であろう。R2を求める分母は,年間の国内生産麦と輸入小麦の総量である(国内生産小麦70万トン,輸入小麦512万トン,どちらも,農水省資料に基づく)。一方,分子は,農水省が別に示している資料「麦をめぐる事情について(小麦) 政策統括官 平成27年10月(URL: http://www.maff.go.jp/j/seisan/boueki/mugi_zyukyuu/pdf/meguji_271005.pdf )に記載されている平成25年度の小麦粉の生産量(4,868千トン)である。
・食パン1斤に含まれる小麦粉の重さの見積もりW2。
・食パン1斤(400g)に占める小麦粉の割合R3。
・一般的な食パン1斤300gに換算した小麦粉の量W3。
・1斤300gの食パンに占める小麦のコストC2。
つまり,小麦の原価9円を,100円以上の値段で買っていることになる。
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<1 kgあたりの小麦粉コストの推定>
・農水省が示す小麦粉の小麦コスト割合 R4。
・小麦粉1 kgの材料費C3。
・小麦粉1 kgの販売価格の推定値P2。
※小麦粉1 kgが¥200以下ならば,その小麦粉は安いということになる。
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このように試算してみると,買うパンは,小麦の政府売り渡し価格の14倍以上になってしまうが,自作するパンは,4倍程度で済むということになる。
時間と心の余裕があれば,「パン」は自作する方が「お得」ということになる。
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