私は,現在,うつで休職中で,自宅に引きこもり状態である(だいぶ良くはなったが)。
一方,諸所事情があって,家内が単身赴任状態になっている。その家内が,手首を少し痛めていて,包丁を使って固いものを切るのも難儀そうなので,
家内用に「強力粉と薄力粉だけを使ったパン・ド・カンパーニュ」を作っている。
ライ麦粉を入れると少し,固めに焼きあがるためである。

以前は,食パンを焼いてスライスして持たせていたが,成形が楽なのと,室温保存し易いので,パン・ド・カンパーニュにしている。
私が作るパンは,毎回何らかの実験要素を含んでおり,似て非なる仕様となる。
2016年3月5日に作った「強力粉と薄力粉だけを使ったパン・ド・カンパーニュ」の仕様は以下の通りだ(過去記事:パンを焼く日(2016年3月6日週のパン5種類)。
・強力粉 270 g
・薄力粉 80 g
・食塩 5 g
・リキッド・ルヴァン 63 g
・レーズン発酵種 40 g
・水 144 g(加水率 62 %相当)
・くるみ 約30 g
三月は,我が家は夫婦揃って誕生月である。それで,少し,贅沢をしてクルミ入りのパン・ド・カンパーニュにしてみた。
映画『リトル・フォレスト 夏・秋 』の中で,橋本愛さん演じる いち子 は裏山に落ちているクルミを拾って,殻を割り,実を取り出して料理する。手間はかかっているが,現金は要らない。
しかし,街にいる私に裏山は遠く,スーパーマーケットは近い。交通費を勘案すれば,買ったほうが安い。
パンを作ってから,一体パンの値段がどうなっているのかが気になりだした。それで,検討してみた。
作ってから,クルミ入りのパンがどれほど贅沢なのか,落ち着いて考えてみたくなった。下の表が検討結果である(金額は税別)。

使ったクルミは160 g入り¥599である。多くは要らなかったので,適量なものを買ったのだが,しかし,1000 gに正規化すると,何と¥3,743もする。何と,高級な食材なことか!
パンの材料費の半分近くが,クルミの値段だ!
グラフを示そう。まず,材料の重さの割合である。データラベルの単位はg(グラム)である。

同様に材料の費用をグラフ化してみた。データラベルの単位は¥(円)である。

上の表から明らかなことではあるが,グラフ化してみると,クルミがパンの材料費の半分以上(52 %)を占めている。材料の10 %未満。焼成後の5 %程度なのにである。
また,リキッド・ルヴァンとレーズン発酵種は種起こしおよび種継ぎに使用した材料(小麦粉とレーズン)のそれぞれの重さから材料費にした。レーズン発酵種はリキッド・ルヴァンよりも,少し,高価な発酵種だと考えることができる。
クルミを入れなければ,このパンは,焼成後の重さ約570 g(ほとんど食パン2斤相当)が,¥103である。
週末に家内は,自宅に戻るので,570 gのパンは,朝食用に月曜日〜金曜日に食べるだけであれば,十分な量である(1日に100 g以上=六枚切り食パン二枚相当)。それが,¥103なのであれば,スーパーで袋入りの食パンを買うよりも安価である。
クルミを少し入れたとしても,1斤¥150〜300の袋入りのスライスされた食パンを買うよりも安い。
私のパン作りは,軽量とドウ作り(生地捏ね)に15分,成形に10分(パン・ド・カンパーニュの場合)しか時間をかけない。オーブンを使っている時間は外出はできないが,他のことはできる(例えば映画を見たり,本を読んだり)。
つまり,週末のちょっとの手間でパンを作ることができる。
コスト計算は世知辛いようであるが,現実を知るためと,自分の作り出している価値を知るためには,必要なことであろう(機械屋としては常識ではあるが)。
検討してみて,面白かった。これも,うつが融けてきたという証である(私のもう一つのブログの記事:「うつ が 融けるのを感じること:散歩の姿勢」)