パン・ド・カンパーニュ 2016年3月5日バージョンの実験〜少ない酵母のくびきについて〜

<1.はじめに>

2016年2月から毎週パン・ド・カンパーニュを作っている。

過去記事

パンを焼く日(その1:2016年2月14日週用のパン)

パンを焼く日(その2:2016年2月21日週用のパン)

パンを焼く日(2016年2月28日週用のパン四種類)

パンを焼く日(2016年3月6日週用のパン五種類)

毎週を同じようなパンを作っていても,少しずつ仕様が異なる。

2016年3月6日週用のパン・ド・カンパーニュにおいては,三つの試みをした。二つは実験。一つは,材料である。

実験の二つは,

(1)リキッド・ルヴァン種を増やすこと

(2)加水率を62 %に下げること

材料については,

・副材料としてクルミを入れることである。

2016年3月6日週用のパン・ド・カンパーニュ(くるみ入り)の材料と焼き上がりは以下の通りだ。

・強力粉 300 g

・薄力粉 100 g

・ライ麦粉 50 g

・食塩 6 g

リキッドルヴァン 63 g  (これまでは,40 g)

・レーズン発酵種 45 g

水 202 g(加水率   62 %相当,これまでは64〜65 %

くるみ 約30 g

パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン
パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン

<2.クルミを入れた理由>
先週,家内の誕生日であった。お祝い気分としてクルミを入れてみた。

<3.二つの実験の動機>

(1)リキッド・ルヴァンを増やしたことについて

パンは一次発酵において,しっかりと発酵させなければ,美味しくならないと,たった半年あまりの経験からであるが,考えている。一方,パン作りの参考にしている以下の図書から,ドウ(パン生地)に加える酵母を,どうしても少なくしたくなっていた。

しかし,これまでのパン作りから,一次発酵が十分ではないと感じていた。発酵時間に17〜20時間をかけてもである。

発酵種を使ったドウの一次発酵がゆっくりであることは,驚くことではない。しかし,十分に時間をかけても発酵が十分ではないのは,家庭という時間にあまり制約を受けない場所であっても,一次発酵以降の工程を設計する上で,少し支障がある。

私の場合には,一週間に食べるパンを一日で一遍に焼く。2016/3/6週用のパンは五種類を焼いた。そういう場合においては,オーブンを効率良く使うことが,「電気代節約」という観点が必要である。そのためには,各ドウをどのような順番として成形・二次発酵に移すかという「工程設計」を必要とする。

つまり,家庭において作るパンであっても,一次発酵の目安時間がわからないと,オーブンを効率良く利用することができない。

一次発酵を進めるためには,i)酵母をドウに多く入れるか,ii)発酵時間を長くするか,iii)発酵温度高めにするという三つの方法が考えられる。

しかし,iii)の方法は発酵は進んでも,発酵種を利用する利点(発酵によってドウ中にアミノ酸などを多くさせるということ)が達成しえない可能性があり,かつ,発光器やオーブンの発酵機能を利用するなどが必要である。

ii)の方法は,十分に選択可能である。しかしながら,成形・二次発酵前に24 hの一次発酵時間を確保しようと考えた場合,土曜日,もしくは,日曜日の午後にパンを焼くのであれば,ドウ作りは,金曜日,もしくは,土曜日の午後早い時間帯に行わなければならない。

現状,私は,療養のため休職しているから時間の自由度は高いが,復職を考慮すれば,金曜日の夕方〜夜にドウを作り,土曜日の午後に焼くというようなことを想定しなければならない。そうなると,ドウを作る時間から,十分な一次発酵時間を確保しつつ,焼成の時間帯までの工程設計を考える必要がある(これを,配合の異なる複数のドウについて,一遍にやる)。

そうなると,これまで,少なめに配合してきた発酵種を増やしてどのなるかについての知見を得ておく必要がある。これが,リキッド・ルヴァンを増やそうと考えた動機である。

志賀勝栄,”酵母から考えるパンづくり”,柴田書店(2007/4)

志賀勝栄,”パンの世界 基本から最前線まで (講談社選書メチエ)”,講談社 (2014/10)

高橋雅子,”少しのイーストでゆっくり発酵パン—こんな方法があったんだ。おいしさ再発見!”,PARCO出版(2007/1)

(2)加水率を65または64 % から62 %に変えたことについて

ドウに加える発酵種を少ない場合においては,一次発酵が進みやすくするため,加水率を高める必要が,酵母の拡散の観点からあると考えている(これだけで,ブログの一記事にしたいと考えている)。加える発酵種を増やせば,ドウの中に拡散する酵母は多くなるなら,発酵を始める場所が増えるため,ドウ中の水を泳いで増える酵母の拡散を期待せずに済む。よって,加水率を下げることができる。バケットでは,クラムの気泡を大きくするために加水率を高める工夫を必要とするが,パン・ド・カンパーニュのクラムの気泡は密であるから,加水率を高めて,気泡を大きくする必要はない。一方,加水率の高いパン・ド・カンパーニュのドウはどうしても緩いため,焼成時に,高さ方向に釜伸びしにくい(焼成後平べったい形になってしまうということ)。

また,私のパンは,主に,コスト的な理由により薄力粉をかなり使う。(過去記事:家で作るパンだってコストにこだわる。だから薄力粉を使う。実績はできた!薄力粉のみのパンの加水率に関する一考察などを参照されたい)。上記のパン・ド・カンパーニュの材料においても,強力粉300 gと薄力粉100 gを配合している。よって,グルテンが形成し難い薄力粉を使うため,加水率をあまり高めたくはない。

これが,加水率を下げてみようとした動機である。

<3.結果の判定について>

一次発酵が従来通り,17時間程度かけても,途中,パンチを必要とせずに発酵し,かつ,焼成後のパンの釜伸びが平べったくなるようなことがなければ実験は成功となると考えることにした。

<4.実験結果>

(1)一次発酵時間について:写真の記録を残していないが,一次発酵約17時間として,発酵が進みすぎて,パンチを必要とすることはなかった。→試験合格。

(2)釜伸びについて:上の写真を再掲する。

パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン
パン・ド・カンパーニュ 2016/3/5バージョン

クープの入れ方に課題があったため,平面的に釜伸びしてしまったが,ドウとして平べったくなるようなことはなかった。加水率 62 %としても,十分に我が家のパン・ド・カンパーニュは作れる。

なお,クープであるが,5本の線を放射線状に入れたのであるが,そのうち,二本がほぼ,直線上になってしまった。そのため,その部分が大きく開くことになってしまったと考えている。加えて,クープをドウ内部深く入れすぎたのであろう。同じ,配合のパンを作る際には,今後課題を解決する必要がある。

(3)クラムの状態:パン焼成後二晩経ったクラムの状態は以下の通りである。パン・ど・カンパーニュを作っているのは,毎日少しずつ切り分けて食べることができるパンなので,我が家の定番としている。室温において保管している(パンの実験:パン・ど・カンパーニュ室温保存はいつまで可能か(12日目:実験終了)を参照されたい)。二晩程度置くと,クラストまで水分が馴染んできて,美味しい。トーストすることは不要だ。

DSCN7751.jpg
二晩経ったパンの切断面
DSCN7752.jpg
スライスしたパン

<5.まとめ>

我が家のリキッド・ルヴァンを使ってパンを作る場合においては,リキッド・ルヴァンの量を粉量450 gに対して,65 g入れても,一次発酵が進みすぎるようなパンにはならなかった。少ない酵母にこだわる必要がなくなったと考えている。

しかし,これは,当然の結果である。我が家のパンではリキッド・ルヴァンを起こしたり・種継ぎに使う小麦粉とドウに使う小麦粉が同じである。つまり,リキッド・ルヴァン中にいる酵母や乳酸菌を,発酵種として増やしておくか,ドウに入れてから増やすかというだけのことである。親子丼は鶏肉を卵和えにして作る。それと似て,私のパンは,種とドウが親子である。どの工程において発酵させようと,同等と考えてよいであろう。

そのように考えれば,一見多めに見えるリキッド・ルヴァンの配合であるが,発酵の進み方を考えれば,多いというわけではないと考えられる。

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