私のパンの作り方は,自習である。我流という方が一般的かもしれない。
だいたい,何をするときも,「教わる」ということはなくて,本一冊を基に自習で学ぶというのが私の流儀である。そして,ある時,レクチャーを聴講すると,自習だけでは曖昧であったことの合点が行くということを,ずうっと繰り返している。高校の頃の数学や物理や英語の勉強もそうだったし,就職してから仕事に必要な知識も,ほとんど自習である。
そして,今は,パンを作るのも自習である。そうする理由と背景がないわけではない。私のパン作りは,体調を崩して休職中している療養の一環として始めた。気分障害による体調不良である。放っておくと一日何もせずに過ぎてしまう。そうすると,良いことは考えず,体調は悪い方へ行く。パンを作ろうと思ったのは,パン生地を捏ねるという「単純作業」を夕方にやることで,少しでも,生活のリズムを作ろうと思ったのが,きっかけである。パン作りを習うに行けない状態である。
その気分障害も,だいぶ改善した。睡眠障害は残っているが,気分が落ち込んで,モノゴトを悪い方に考えるようにはならなくなったし,最悪の時期にはできなかった本を読むということもできる。音楽さえ楽しめなかったのであるが,今は,一日中聴いている。時間はかかっているが,体調は良い方法に改善している。
そうやって作っているパンだから,参考にしているレシピ集(志賀勝栄著『酵母から考えるパンづくり』)はあるにしても,それはパン屋さん用のレシピ集であるから,自宅でのパン作りのための雛型にはなっても,材料から焼成までの全ての工程を自分の道具や環境に合わせて調整・工夫をする必要がある。
最も悩ましいのが,一次発酵である。なぜなら,私のパンは発酵する保証がないからだ。
パンを作るためには,材料計量・ドウ作り(生地捏ね),一次発酵,ベンチタイム・成形・二次発酵(クープ入れ)・焼成と各工程を進める。そのうち,人が関われるのは,材料計量・ドウ作り・成形・焼成だけだ。これは,私のパンでは1時間程度しかかからない(過去記事:自分で作って食べるためのパンを考える(その6:所要時間について考える)〜バターロールレシピへの疑問から〜)。発酵は,酵母と環境(主に温度)にお任せするしかない。発酵種だけを使って作るパンでは特にそうだ。
発酵種を使って作るパンの一次発酵は時間がかかる。私の場合は,ドウが発酵したなと,目視によりわかるまで,最短でも12時間を要する。ほとんど,夜間寝ている間に発酵させているから,ずうっと見ているわけではないので,ストレスにはならないが,不安ではある。
しかし,ある時,これが発酵している兆候であろうかと思うようになった。
ドウを発酵させる時に,発酵容器にラップで蓋をした状態にする。そのラップが,時間とともにラップの内側が結露していくのである。
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写真では判別し難いが,時間の経過とともにラップの内側の結露が多くなる。四角形のプラスチック容器にラベルを貼っている。これは,ドウの区別のためでもあるが,発酵が進むと,結露により,カメラのオートフォーカスが機能しなくなるため,フォーカスロックをする部分をマーキングするためでもある。
この結露の理由について,私はわかっていない。二つの理由が考えられると思っていある。
1.ドウの中の水分が蒸発して結露する。
2.ドウが発酵する際に,アルコールが生成されるが,そのアルコールがドウから蒸発してラップの内側に液滴となる。
おそらく,両方であろうと思う。ドウが発酵する過程では二酸化炭素も生成されるが,二酸化炭素は発酵の温度では気体であるし,水にも容易に溶解するため結露するとは考え難い。
私は,このラップの結露を『酵母の息』と呼んでいる。酵母がドウを発酵してくれている証拠だと信じている。
だから,夕方ドウを作って,寝る前に酵母が息をしていたら,安心して朝を待つことができる。
朝方,ドウが目視で十分に発酵していない(膨らんでいない)ことはしばしばある。上の写真であれば,右下のドウは時間が経っても目立って膨らんではいない。
しかし,そんなドウであっても,成形の工程のために,容器からドウを取り出すと発酵していることは,触感でわかる。
そうやって,焼成まで行ったのが下のパンである(過去記事:パンを焼く日(2016年2月28日週のパン四種類))。

パンとは正しく,発酵食品であると捉えている。
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