リーンなパン(その42:白無花果発酵種の白パン)

強力粉 300 g
白無花果発酵種(液) 20 g
食塩 4 g
水 184 g(加水率 68 %相当)

一次発酵 室温約8 h (早朝から午後)
二次発酵 室温 2 h
焼成条件 210 ℃ × 30 min

焼き上がり一時間後。

早朝からの一次発酵であった。釜伸びが大きい。成型に工夫が要る。

リーンなパン(番外:白無花果発酵種を起こす)

白無花果の入ったパンが美味しいと勧められた。

レーズンパンのレーズンに代わって白無花果が入ったパンだという。

今までの私の生活に白無花果などというものは無関係で見たこともなかったが、昨年秋から作り出したパンによって、突然関係が生じた。

近所には、普段使いのスーパーと高級スーパーがある。先ず、高級スーパーのドライフルーツの陳列棚を見てみた。トルコ産の乾燥白無花果があった。トルコ産ということに興味を抱いた。

普段使いスーパーの製菓用材料の棚には無かったが、その対面のドライナッツなどの棚(ツマミ用である)に、今度はイラン産の乾燥白無花果が小分けで陳列されていた。このイラン産というのにも興味を抱いた。

無神論者の私には縁がないが、旧約聖書の舞台は、今のイラクやシリアやエジプト辺りだというくらいのことはなんとなく知ってはいる。アダムとイブが食べた禁断の果実が、無花果であるという説があることも聞いたことがある。

そして、古代から17世紀までは欧州よりもオリエントと呼ばれる中近東の方が豊かであったことも。その名残として、トルコ産やイラン産なのであろうか?

歴史とパン作りが、乾燥白無花果により繋がった。こういうことは、とても嬉しい。

そして、乾燥白無花果入りのパンを焼こうと思った。しかし、袋入りの乾燥白無花果を見たとき、どうせなら、発酵種も白無花果で起こして生地発酵をさせてみたいと思った。

乾燥白無花果にはイラン産の方を用いた。理由は、小分けのため安価であったというだけである。白無花果発酵種が必ずできるという確証がないため、出費は少なめにしたかった。

前置きが長くなったが、白無花果発酵種は、レーズン発酵種を作る手順の応用問題としてできた。結果が、図1である。


図1 白無花果発酵種(搾り後)

使用した乾燥白無花果のパッケージを図2と図3に示す。


図2 使用した白無花果のパッケージ表


図3 使用した白無花果のパッケージ裏

図3に成分表が記載されている。糖質が多い。この成分表の糖質が多さを見て、発酵種を起こすことが可能であろうと考えた。

仕込みは、レーズン発酵種と同様に行った。水洗いした乾燥白無花果をガラス瓶に入れ、ぬるま湯(私は35 ℃とした)に浸して、よくかく拌した。かく拌後の瓶の状態が図4である。これが、仕込みとなる。


図4 白無花果発酵種仕込み直後

以降は、ほぼ、24 hごとの発酵の変化である。


図5 白無花果発酵仕込み後2日目


図6 白無花果発酵仕込み後3日目


図7 白無花果発酵仕込み後4日目

四日目において気泡は増えるのであるが、無花果は、瓶の底の沈んだままである。


図8 白無花果発酵仕込み後5日目

五日目になって、一部の無花果が浮遊し始める。


図9 白無花果発酵仕込み後6日目

五日目と大きな差はない。レーズン発酵種であれば、五日目には完成であるが、朝夕に瓶の蓋を開けても、瓶からガスが出る音はしない。


図10 白無花果発酵仕込み後7日目

ほとんどの無花果が浮遊した。しかし、浮遊が瓶内部にガスが溜まって浮遊したものか、浮力によるものかは、瓶の蓋を開けたときのガスが抜ける音が小さく、七日目の状態において、種完成の判断は難しかった。


図11 白無花果発酵仕込み後8日目

八日目になって、ようやく、瓶の蓋を開ける際に、ガスが抜ける音がするようになる。シュッという音である。レーズン発酵種に比べると音は小さいように感じた。無花果全て浮遊していることも確認できる。

完成とするか、未だ発酵させるか思案したが、この時点で搾ることにした。その結果が図1である。

発酵種の出来を評価するために、粉量150 gのパンを焼いた。その結果が、図12である。


図12 白無花果発酵種とりんご発酵の出来具合の確認用パン

図12において、最左と中央が白無花果発酵種を使用したパンである。最左のパンは発酵種のみを使用し、中央は、乾燥白無花果を入れた白無花果パンである。最右は、同時に評価した、新しく起こしたりんご発酵種を使ったパンである(パンの仕様をこのテキストにリンクする)。

焼いたパンの切断面を図13に示す。


図13 白無花果発酵種とりんご発酵種の評価用パン切断面

図13において、中央が白無花果発酵種のパン、左奥は、白無花果パン、右奥がりんご発酵種のパンである。

図13において、いずれのパンも生地の発酵は十分と判断している。

味見の結果であるが、りんご発酵のパンよりも、白無花果発酵種のパンの方が甘みが強い。ただし、加糖したような甘さではない。また、白無花果パン(乾燥白無花果を入れたパンの方)は、乾燥白無花果とパン生地の味や食感の不連続感が小さいように思われる。つまり、美味しい。白無花果パンを食べてからりんご発酵種のパンを食べると、前者の方が美味しい。

白無花果発酵種を起こす上では、発酵種を起こす際の一般的なコンタミネーション防止は、当然必要である。私の場合は、瓶の煮沸と器用アルコールの利用と蓋を開ける時間を短くするなどである。

なお、白無花果発酵種の発酵の比べは十分であるが、普段使いに多用する発酵種とは考えていない。ルヴァン発酵種やドライイーストと併用して、風味付けに利用する考えである。