リーンなパン

ウツが悪化して、就業できなくなり、自宅で休職していると、趣味が増える。

最初の時は、ピザ生地作りだった。ついでに、トマトソースも自分で作るようになった。確か、クッキーとかも作った覚えがある。

二回目の時は、テニスだった。相手がいないから、ひたすらサーブの練習ばかりしていた。

そして、今回は、何故かパンばかり作っている。

どんなパンかと言うと、とてもシンプルなパンだ。

材料は、小麦粉、食塩、ドライイースト、そして、水道水のみ。

何度か、試行錯誤を繰り返して、なんとなく、それらしいモノができるようになった。その例が、下の写真。なんちゃってバケットである。

普通、日本では、パン作り用の小麦粉には、強力粉を使うが、上のパンは、薄力粉のみで作ってみた。もちろん、強力粉を使う方が楽にパンを作れるのだが、粉の値段が安い薄力粉で作ってみたかった。

加えて、イーストの量も、できるだけ少なく作ってみたいと思い、上の写真のパンは、小麦粉の重さの0.5 %位で作った。

不思議なもので、バターロールの作り方とかは、幾らでもレシピが手に入るのだが、材料がシンプルなパンのレシピと言うのは、ネットを検索しても中々無い。

なので、だいたいが、レシピは、自分で決めることになった。

幸いに、プロの本を見つけることができた。

本に色んなことが書いてあるが、最も啓発を受けたのは、パンは、発酵食品であると言うことだ。

小麦粉のデンプンを糖に分解して、水と二酸化炭素にする。そして、発酵が進めば、小麦粉中のタンパク質がアミノ酸に分解される。

つまり、パンを作ると言うのは、日本酒や味噌や漬物を作るのと同じこと。

ただ、最後に、焼いて発酵を止めると言うのが、違うのみ。

更に、パン生地を捏ねるのは、生地にグルテンを作って、発酵でできる水分や二酸化炭素を含ませる骨格を作ること。

そう言ってもらえば、後は、自己流でもどうにかなる。

焼いた後のパンには、下の写真のように空洞ができる。水分や二酸化炭素が抜けた後だ。

パン生地を捏ねる作業は、単純な繰り返し作業であるが、最初は、分離していたそれぞれのパンの材料が、捏ねる回数とともに、一様な分布になっていく。パン捏ねは、カオスの例として取り上げられるが、正しく、単純から、複雑を作り出すカオスである。

ウツで、何も出来ずに、ベッドでただ横になっているよりは、まだマシだ。回復には未だ未だ時間が必要だけれども。